殺人未遂容疑で少年2人を逮捕 笠間、路上にロープ バイクの女性転倒

笠間市で昨年十月、路上にロープが張られ、ミニバイクの女性が転倒してけがを負った事件で、笠間署は三十日、殺人未遂容疑で、いずれも同市に住む私立高校一年の男子生徒(16)と無職少年(16)を逮捕した。

 逮捕容疑は、二人は昨年十月十一日午前三時五分ごろ、同市下郷の県道にナイロン製のロープを横断させ、ミニバイクで新聞配達中の同市の女性(46)を転倒させ、首などに三週間のけがを負わせたとしている。

 同署によると、二人はロープを張ったことは認めている。

 ロープは幅六メートルの道路両端にある生け垣と鉄柱の一・三メートルの高さに結び付けられていた。

 事件の直前、現場近くのスーパーの公衆電話から虚偽の一一〇番があり、駆け付けた警察官が付近を捜査中にけがをした女性を発見。同署は一連のいたずらの可能性があるとみて捜査していた。

小崎3位 日本勢最高 大阪国際女子マラソン

11月のアジア大会(中国・広州)代表選考会を兼ねた大阪国際女子マラソンは31日、大阪市の長居陸上競技場発着のコースで行われ、27歳のアマネ・ゴベナ(エチオピア)が2時間25分14秒で初優勝を果たした。30秒差の2位がマリサ・バロス(ポルトガル)で、34歳の小崎まり(ノーリツ)が2時間26分27秒で日本勢最高の3位に入った。

 シドニー五輪銀メダリストのリディア・シモン(ルーマニア)は4位。引退レースとなった38歳の小幡佳代子(アコム)が5位で、初マラソンの木崎良子(ダイハツ)は6位だった。左ひざ故障の影響が懸念された赤羽有紀子(ホクレン)は39キロ手前で途中棄権した。

 前半ハイペースとなった雨中のレースは、27キロ付近で赤羽、30キロすぎに小崎が後退。終盤にゴベナがバロスとの一騎打ちを制した。

◆冷たい雨 我慢の走り
 冷たい雨が容赦なく故障した左脚を打ち付けた。「何度も『大丈夫や、大丈夫』と自分に言い聞かせた」。マラソンの練習を1カ月前に再開したばかりの小崎が、我慢の走りで日本人トップの3位に食い込んだ。

 序盤は5キロ16分台後半のハイペースな展開。小崎は「30キロまでは連れて行って」と先頭集団の後方につき、トップの赤羽にブレーキがかかった27キロ付近で順位を3位に上げた。途中から雨脚が強まり、「太もも全体が冷えて脚が上がらなくなった」。35キロ付近で前の海外2選手と差が開きだしたが、最後まであきらめずに追い掛けた。

 昨年10月、全日本実業団女子駅伝の試走中に転倒。左ひざを痛め、同12月の会見では「今回は見合わす状況」と弱気も。しかし年末に練習を再開すると、短い期間に1300キロを走り込み、間に合わせてきた。

 社会人14年目の34歳。これまでトラックに軸足を置いたが、今後は海外のロードレースに挑戦するという。「最後の5キロは今までで最悪の走り」。敗戦の悔しさを糧に、ベテランは前を向いた。 (松山義明)

遊ぶカネ欲しさで当たり屋、少年少女4人を逮捕

昨年11月、徳島県徳島市内で自転車の接触事故を装い、クルマを運転していた女性から示談金と称した現金を脅し取ったとして、徳島県警は27日までに同市内に在住する16-17歳の少年少女4人を恐喝容疑で逮捕した。

徳島県警・徳島東署によると、問題の事件は2009年11月19日に発生している。徳島市安宅2丁目(N34.3.58.8/E134.34.40.3)付近の県道で、同市内に在住する47歳の女性が運転する乗用車が交差点を右折しようとしたところ、前方で2人乗り自転車が転倒した。

自転車に乗っていた16歳の少年2人は「クルマと衝突して転倒した」、「負傷した」と主張。女性を怒鳴りつけて脅迫。示談金と称し、女性が所持していた現金約3万4000円を奪ったという。

女性は警察に被害を届け出たが、警察が車体の検証を行ったところ、接触痕が無いことが確認された。交差点周辺には防犯カメラが設置されていたが、映像には事故前から周囲をうろつく不審な自転車と少年らが映っていたこともわかった。

警察は映像を分析。周辺での聞き込みも行った結果、16歳の少年3人と17歳の少女1人が容疑に関わった可能性が高くなり、27日までに恐喝容疑で逮捕している。

調べに対して少年3人は「遊ぶ金が欲しくて脅した」などと供述し、容疑を認めているが、少女は「自分は関与していない」などとして容疑を否認しているという。

川島17人で聖地へ!21世紀枠で出場

「第82回選抜高校野球選考委員会」(29日、大阪市)

 部員わずか18人の川島(徳島)が29日、春夏通じて初の甲子園出場を決めた。21世紀枠での同県からの選出は初。本番でプレーするのは実質16人だが、四国では74年の選抜に池田高校(徳島)が11人で出場し、さわやかイレブンとして、77年の選抜では中村(高知)が12人で出場し、二十四の瞳として話題を集め、いずれも準優勝している。小さな野球部の大きな活躍に期待が集まっている。

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 授業を終え、グラウンドに集まった16人の部員を前に天羽俊夫校長が「21世紀枠での甲子園出場が決定しました。おめでとう」と報告。藤畠慶祐主将(2年)は「自分たちの野球ができるよう頑張ります」と喜びを抑え、意気込みを話した。

 休部1人に加え、控えの竹内翔太投手(2年)が数日前に自転車で転倒して足首を骨折。この日は手術を受けており、北谷雄一監督(33)は「甲子園には間に合いそうにない。ベンチ入りはしますが」と、甲子園では実質16人で戦うことになることを明かした。

 わずか18人の部員は、学校周辺のごみ拾いにも積極的に取り組んでいる。少子化や部員数の減少に悩む学校の励みとなることが評価された。藤畠主将は「18人で、練習の準備をする人数が少ない」と話すものの、「協力してやっているので気にならない。みんな仲がよく、帰りに話をしたり、遊んだりしている」と、他チームに負けないチームワークのよさを強調する。

 練習も満足に-というわけではない。同校は中高一貫校で、グラウンドは共用。他部の練習のわずかなすき間をぬって、投球マシンでフライを上げ捕球練習したりするなど工夫しており、藤畠主将は「狭い中で一体感が出る」と話した。

 北谷監督は鳴門工のコーチ、部長として計5回の甲子園を経験している。「あの雰囲気を生徒に味わってもらいたかった。その中でいつも通りのプレーを見せたらいい」。かつての池田や中村のように、四国の少人数公立校は常に台風の目となってきた。川島にも、底知れない力がある。

老いを痛感 先行き不安に

もうすぐ70の大台に乗る主婦。夫の転勤に従い、知らない土地で子を育てました。10年前、夫の故郷に移り住みましたが周りは全部知らない人。地域に受け入れてもらおうと頑張ってきました。ただ夫は寝たきりになって入退院を繰り返し、私は趣味も全部やめました。最近、自分の終(つい)の棲(す)み処(か)はここでいいのだろうか、と思い始めています。

 元日に雪かきをしてあおむけに転びました。けがはしませんでしたが、思うように体が動かないことを思い知りました。この先、車に乗れなくなったら買い物はどうするか。死んでも誰も気づいてくれないのでは。暗いことばかり考えます。

 子どもたちは都会に住んでいます。知らないこの土地に転居して来ることはないでしょう。独りになったら、この土地をすべて売り、自分の実家があった西の地に小さな家を建てて移ろうか。残り少ない人生にそんなことをしたら無駄だろうか。夫が思いを込めて建てたこの家を人の手に渡すのも惜しい。あれこれ考えて揺れ動いています。(京都・K子)


 老いは、突然、きます。あなたの場合、雪かきでの転倒ですね。人それぞれに、いろいろな形で老いを知らされます。

 思ってもみなかったことなので、誰もがショックを受け、あれこれ先ゆきの心配をいたします。どのように生きてゆくか。どういう形で生きたら、ベストだろうか。

 残念ながら、これには適切な助言はありません。

 あなただけの問題です。あなたが自分で道を決め、歩いていかねばなりません。正しい方向もないかわり、間違った過ごしかたもない。自分で決断するのですから、誰の責任でもない。他人の指図を受けて動くことではないのです。

 あなたには子どもさんたちがいますし、一度、家族会議を開いて、真剣に語りあってはいかがですか?

 あなたが招集することで、子どもさんがたも、事の重大さを知るでしょう。でないと、若者たちはいつまでたっても、他人事にしか考えませんよ。恥ずかしがらずに老いを訴えることが大事です。

 (出久根 達郎・作家)

(2010年1月29日 読売新聞)

母への贖罪 今も 人気塾講師 生涯一度の過ち

古い民家が立ち並ぶ住宅街の一角。その家の二階の窓には、いつも数人の生徒の姿が映っていた。玄関脇には白いヘルメットを引っ掛けた四、五台の自転車。靴音が際だつほど静かな夜空に、声が響いていた。「分かるか、ここが試験に出るんや」-。

 富山県氷見市の中心部で、看板も生徒募集の案内もない学習塾。「民家で名もない塾を何十年もやってた。この辺りにもナントカ塾とかアカデミーとか、いっぱいあるのに。それだけで息子さんの人柄が分かる」。近所に住む三十代の女性が振り返る。

 「あのころは、つばを飛ばすほど熱くなって教えていた」。今、その家に独りで暮らす塾の元講師の男性(57)は目を閉じ「もうそんな資格ない」。数え切れない生徒を励まし、導いた「先生」の声はすっかり小さくなっていた。

 二〇〇四年八月、同居する母親=当時(80)=に暴行して死なせ、傷害致死の罪で〇五年二月に懲役四年六月の実刑判決を受けた。足が不自由で、紙おむつを使う母親を一人で介護。行き詰まった末の悲劇だった。

 服役中、同室の受刑者から「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)を百万遍書くと、罪が消える」と聞き、贖罪(しょくざい)の一心でペンを握った。重ねたノートは二十二冊。四十万回に達した時、刑期を終えた。出所して一年が過ぎた今も自責の念にさいなまれる。

 両親との三人家族だった。大正生まれで寡黙な父と社交的で教育に熱心な母。「楽しみは家族で行く週一回の銭湯だった」と振り返る。

 地元の高校から関東の大学へ。鉄鉱の研究に没頭しエンジニアを夢見たが、石油ショックで就職が難航。「おやじが『地元に戻ってこいや』と。うれしかった」。帰郷してすぐ、近所の知人に声を掛けられた。「うちの子の勉強、ちょっと見てくれんか」。一人、また一人と増え、気がつけば学習塾になっていた。

 自宅二階の八畳間二つを開放した教室。畳の上に長机を置き、並べた五、六枚の座布団に生徒が座った。小さな黒板はベニヤ板に墨を塗った、父の手作りだった。きめ細かな指導が評判になり「大勢やと目が行き届かん」と入塾を断ることもあった。

 独身のまま二十年余りが過ぎた一九九七年、介護する母にみとられて父が亡くなり、五年後、母が自宅の廊下で転倒し家事一切ができなくなると、生活は激変した。

 炊事に掃除、洗濯…。そこに母の介護が加わった。戸惑うばかりの毎日で、受験を控えた生徒を思うと、重圧で押しつぶされそうになった。体調を崩し、塾と介護の両立を断念。天職と思って運営してきた塾を閉じ、介護に専念する日常が始まった。

  ◇    ◇

 介護をめぐる親子間の傷害致死事件。ケアマネジャーは警察の調べに「母親は認知症」と証言したが、介護する息子は気づいていなかった。致命傷となった生涯に一度の母への暴行。判決は、認知症の介護者が陥りがちな混乱と孤独には触れず「一時の激情に走り身勝手」と断じた。地域の信頼を集めた「塾の先生」に何が起きていたのか。服役を終えた本人に当時のことを聴きながら、事件を検証する。

花火大会事故 市民感覚が一石

 兵庫県明石市の花火大会事故で、神戸第2検察審査会は、事故当時の明石署副署長について起訴相当と判断した。この結果、元副署長は強制的に起訴され、法廷で刑事責任の有無が審理されることになる。

 「公益の代表者」とされる検察官は、無罪となった場合に起訴された被告の人権侵害が甚大であることを踏まえ、有罪判決を得られる確証を持ち得ない状況での起訴に慎重になる側面があった。

 しかし、審査会は議決文の冒頭で、検察官の立場に理解を示しながらも、「有罪か無罪か」という従来の見地からではなく「市民感覚の視点から、公開の裁判で事実関係および責任の所在を明らかに」する立場に寄った。刑事事件を審理する法廷のあり方にまでかかわるスタンスの違いともいえる。

 裁判員制度の導入とともに、公判での立証活動は「精密司法」から「核心司法」へと大きな変化を迫られたが、今回の議決は、市民の司法参加が、起訴のありようにも一石を投じた結果といえるだろう。

 審査会は、そうした市民感覚から元副署長の過失の有無を検討。事故当日の対応だけでなく、元副署長も関与した警備計画の策定段階にもさかのぼり、過失があったと結論づけた。

 事故の原因は現場の警備責任者だった当時の明石署地域官らが対応を誤ったことにあったと判断し、副署長の起訴を見送ってきた神戸地検の訴因構成を「理解できない」とまで断じている。

 だが、審査会の判断だけが突出しているわけではない。署幹部の責任については、元地域官らを有罪とした平成19年4月の大阪高裁判決も「その刑事責任が不問に付されているのは正義に反する」と言及。遺族らによる損害賠償請求訴訟の判決でも触れられており、結果的に神戸地検の判断のみが“浮いた”格好だ。

 4度の不起訴を経た今回の議決はもとより、今後も検察審査会、すなわち市民が刑事司法に対して果たす役割はますます大きくなっていくと考えられる。それだけに、審査会にもより慎重な審査が求められることになる。(神戸総局 塩塚夢)

今後の流れ「検察官役」に弁護士 起訴へ

 検察審査会(検審)は、議決書を地裁に送付し、裁判所が「検察官役」になる弁護士を選任、この弁護士が起訴する。今回のケースでは、神戸地裁が兵庫県弁護士会に推薦を依頼することになり、弁護士会は「少なくとも3人が指定され、補充捜査の権限が十分行使できる態勢が必要」としている。

 指定弁護士は、検審や地検の記録を引き継ぐとともに、必要とあれば被疑者の事情聴取なども行えるが、任意捜査が原則で、「速やかに」公訴を提起(起訴)し、検察官の役割を行う。

 指定弁護士の任期は判決が確定するまでとなる。

 これまで起訴独占主義を貫いてきた検察官に代わって指定弁護士が公判に立つが、個別事件としてみた場合、有罪の立証が簡単ではない業務上過失致死傷罪をめぐる事件であることや、公訴時効の問題も含め、識者からは「難しい公判になるのでは」との声があがる。

 過失論に詳しい松宮孝明・立命館大法科大学院教授(刑法)は「検察官が起訴しなかった事例で、指定弁護士が新しい証拠をどう収集していくのかが注目される。検察や警察もどこまで協力するかわからず、苦労する部分が多いのでは」と話す。

 また業務上過失致死傷罪の公訴時効(5年)を過ぎており、検審は「(有罪とされ公判中の)元地域官の共犯と評価でき、公訴時効停止の要件を満たす」と判断したが、「過失犯の『共同正犯』を認めたケースはあるものの、こちらも難しい判断になる」とみている。

 明石市の花火大会事故 平成13年7月21日夜、兵庫県明石市主催の花火大会で、会場と最寄り駅を結ぶ歩道橋上に見物客が殺到し、転倒した11人が死亡し、247人が重軽傷を負った。県警は業務上過失致死傷容疑で県警、市、警備会社の計12人を書類送検。神戸地検は明石署の元地域官ら5人を起訴し、市元幹部ら3人は有罪が確定した。元地域官ら2人は上告中。元署長(19年に死去)と元副署長は不起訴になったが、遺族が検察審査会に3度申し立て、審査会は元副署長について3度起訴相当と議決。地検はいずれも不起訴にした。

4大陸フィギュア:27日開幕 復調真央のV濃厚 展望

【全州(韓国)来住哲司】フィギュアスケートの4大陸選手権は27日から4日間、当地の全州華山氷上競技場で行われる。

 女子は地元の金妍児など有力選手の多くが出場せず、日本の浅田真央(中京大)、鈴木明子(邦和スポーツランド)の2人のバンクーバー五輪代表による優勝争いとなりそう。浅田は今季グランプリ(GP)シリーズで不調だったが、先月の全日本選手権はトリプルアクセル(3回転半)を決めるなどで4連覇。実力的には2年ぶりの優勝が濃厚で、五輪に向け高得点を挙げてアピールしたい。前回8位の鈴木は3回転ルッツの踏み切りに課題を残すが、今季急成長しただけに2位以上を狙う。日本からは今井遥(東京・日本橋女学館高)も出場する。海外勢ではキャロライン・ザン(米国)が07年GPファイナル4位、前回4位の実績を持つ。

 男子は過去2年連続世界ジュニア王者のアダム・リッポンら米国勢、今季スケートアメリカ2位のショーン・ソーヤーらカナダ勢のほか、昨季世界選手権8位のデニス・テン(カザフスタン)らの争い。日本からは町田樹(関大)、南里康晴(ふくや)らが出場。アイスダンスに出場予定だったバンクーバー五輪代表、キャシー・リード、クリス・リード組(木下工務店ク東京)は、キャシーの腰の状態が万全でないため欠場する。

 ○…公式練習が25日、会場の全州華山氷上競技場で始まり、日本女子陣では鈴木、今井が本番リンクの感触を確かめた。鈴木はジャンプの軸が少しぶれるケースが目立ったが、転倒などはなく無難な滑り。「合計180点を目指し、表彰台に上がりたい」と目標を掲げた。故障欠場の中野友加里の代役で出場の今井は、ダブルアクセル(2回転半)-3回転トーループを決めるなど好調。国際スケート連盟主催のシニア国際大会は初出場で「ジャンプをミスなく決めたい」と話した。浅田は同日夜に現地入り、26日から公式練習を行う。

【大阪国際女子マラソン】(2)小崎まり 15年目の節目、尽きぬ冒険心

この春で社会人15年目を迎える34歳。アスリートの常識でいえば、すでにピークは過ぎている年齢だ。だが、こと小崎に関しては当てはまらない。「筋肉痛は今でも、走ったその日にくるんです。逆にショック」。あっけらかんと笑った。

 2003年大阪で初マラソン。05、07年も地元の浪速路を走り、すべて2時間23~24分台でまとめた。満足のいく状態で出場できたためしが一度もないのに、である。

 03年は足の指を痛め、走るトレーニングは1日置き。2度目のマラソンは貧血気味で練習量が足らず、3年前は原因不明の知覚過敏が後頭部を襲い、レース直前は眠るのも一苦労だった。

 「もうちょっとできるんやろうなという余白が、自分の中にある」。根拠のない自信ではない。「ほかの選手が言うような不安がないんです。昔はできていた練習が、年を取ってこなせなくなった、とか。私は完璧(かんぺき)にできたことがないから」

 節目の年を迎えるにあたり、小崎はある“冒険”を試みるつもりだ。春はトラックレースを転戦するのが従来の流れ。それを、ガラッと変える。大阪での走り次第ではトラックを封印し、続けざまの海外マラソンも視野に入れている。

 「30キロですら、1年近く走っていない。トラックを走る土台を一から作り直そうと思った」。昨年は日本選手権の1万メートルで4位、5000メートルで5位と健在ぶりを見せつけたが、最後の42・195キロとなった07年大阪世界選手権から2年以上が経過。振り返れば、距離を踏む練習は久しく手つかずだった。

 マラソン練習を始めて1カ月あまり。宮崎での40キロ走は「ペースは同じぐらいでも、以前より楽に感じた。私なりに、安定して練習ができるようになっている」。加齢による衰えを感じない理由は、そこにもある。

 昨秋、転倒した際に痛めた左ひざは万全でなくとも、例年になく体調がいいのは救いだ。

 「いまの状態でどれだけ走れるのか楽しみ。たとえ失敗しても経験になるし、データとして今後に生かせますからね」

 34歳の冒険心は尽きない。(細井伸彦)

 おざき・まり 大阪短大からノーリツ。34歳。自己記録は2時間23分30秒。162センチ、46キロ。大阪府出身。

スキークロス代表・滝沢に悪夢…五輪出場絶望か

フリースタイルスキー男子スキークロスのバンクーバー五輪代表、滝沢宏臣(36=トーヨータイヤ)が24日に米レークプラシッドで行われたW杯第7戦で転倒し、骨折の疑いと診断された。

 滝沢は準々決勝で転倒し、途中棄権して15位。右股関節付近の骨を折ったか、ひびが入ったと診断された。全日本スキー連盟の林辰男フリースタイル部長によると、ひびなら約2週間で復帰できるため2月21日にレースが行われる五輪に間に合うが、折れている場合は出場が絶望的。日本に帰国し、精密検査を受ける。滝沢が五輪を断念しても代表の追加はしない方針。