雪道で滑る前に教えてくれる? 東大が発明

エコノミックニュース

2016年01月30日 19:04

記録的な寒波の来襲で、普段は積雪に慣れていない西日本や都心では歩行中に滑って転ぶ人が続出した。雪が降るたびに歩き方のコツがしきりにテレビなどで繰り返されるが、それでも転ぶ時は転んでしまう。原因は、靴の底が滑るからだ。「滑るぞ!」と警告してくれる靴があったらどんなにましだろう。そんな可能性を東京大学の研究グループが示してくれた。

「接触面の静止摩擦係数を検出するマイクロ触覚センサ」の開発に成功したという。難しい理論はさておき、結論としては、押し付けるだけで物体の静止摩擦係数を計測できるマイクロ触覚センサの開発に成功したのだという。そして、「本技術により、靴裏と床との滑りやすさを検出して警告する靴や路面の滑りやすさを警告するタイヤの実現、ロボットの転倒防止などにつながることが期待されます」と自信満々にコメントしている。

これまでの触覚センサでは、滑ってからでなければ静止摩擦係数を計測することができなかったが、新開発のマイクロ触覚センサでは、滑らせなくとも物体に押し付けるだけでその静止摩擦係数を計測できる。例えば、靴裏やタイヤ、ロボットの足裏に取り付けることで、接地面を滑らせなくても、路面の滑りやすさを計測して警告してくれるとしている。

研究グループでは、その理論を次のように解説する。「濡れた風呂の床の上を素足で歩くと、足は滑っていないにもかかわらず、滑りそうだと感じることがある。これは、足裏の一部分だけがわずかに滑る感覚を敏感に知覚して、床面の静止摩擦係数の違いを検出していると考えられる」。そして、その延長線上として、物体にものを押し付けるだけで静止摩擦係数を計測するセンサを開発したという。

研究グループによると、これまでも床面との接触力や滑りを計測するための触覚センサはあったが、それらのセンサでは実際に足裏が滑り出さなければ摩擦係数を計測することが困難だった。しかし、「本研究では、高いピエゾ抵抗効果を持ち、高感度にひずみを検出することが可能なn+型シリコンをゴム材料中の複数点に配置することにより、物体に押し付けただけでその表面の静止摩擦係数を検出することが可能なマイクロ触覚センサを実現した」のだという。

滑った後に教えてくれるより、着地した時に教えてくれたほうがよいのはあたりまえだが、今度は「次のステップで転びますよ」という警告を与えてくれるセンサが欲しくなってしまう。(編集担当:城西泰)

 

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