約8割の犬が腰に問題を抱えている!? 犬の腰によい床材を探せ!

SUUMOジャーナル 11月7日(木)20時0分配信

現在、日本で1100万匹以上飼われている犬。番犬として庭で飼われていたのは昔の話、今は室内飼いが主流だ。その一方で、約8割の犬が腰になんらかの問題を抱えていて、なんと原因は床材にあるという。犬の腰と床材の関係について、建築家に取材してみた。

■どうやら日本限定? 犬の腰痛と床の悩ましい関係とは

今回、犬の腰と床材について話を伺ったのは、一級建築士で家庭動物住環境研究家でもある金巻とも子さん。建築に詳しいだけでなく、犬の行動心理、しつけなどにも詳しいスペシャリストだ。

「ひと口に犬の腰痛といっても、股関節を痛めやすい犬種がいたり、性格、しつけ、家族の暮らし方などさまざまな要因があります。ただ、犬も若いうちは元気に走っているので気がつかないかもしれませんが、加齢でパット(肉球)から湿度が失われるようになると、より床を滑りやすくなり、腰への負担が増していきます。そのため老化とともに腰を悪くする傾向にあります」(金巻さん)

一説によると、日本で飼われている犬のうち、約8割が腰を悪くしているデータもあるという。
ただ、床の材質が犬の腰に負担をかけているというのは日本だけだとか。

「欧米では大型犬の飼育が主流。さらに床材はタイルなどですから、足を滑らせて腰を悪くするという話は多くありません。一方、日本では住宅事情から、小型犬や中型犬が多い上に、室内の床は硬い合板フローリングが多いんです。室内を歩いていると、犬も後ろをついてきますよね。人間にとってはゆっくり歩きでも、小型犬にとっては小走り状態になっているはず。このとき、足がツルツルとすべって上滑りしてしまい、腰に負荷がかかってしまうんです」

ほかにも、人間がソファなどに座っているときに足元を走り回ったり、ジャンプするなどの行動や、階段の昇り降りなども、犬の腰にとっては負荷となっているようだ。

■理想の床材は無垢材!クッションフロアも犬の腰にはイイ

それでは、犬の腰によい床材とは、どのようなものなのだろうか。

「予算を考えず、人間の住み心地と犬の腰のことを考えたら、いちばんは無垢材です。やわらかな杉や松だけでなく、タモや栗などは適度な硬さ、しっとり感があり、犬もグリップがしやすい。もちろん、人間も心地よいと思います。複層合板のフローリングを選ぶなら、ペット用防滑性能表記のあるものがいいですね。防音性能が求められる集合住宅でのフローリングは、必然的に複合フローリングになっているはずです。あと、クッション性、メンテナンスといった機能面だけでいえば、医療施設などで使用されているクッションフロアも条件を満たしています。ただ、質感が落ちてしまうので、フロア全体に使うのは厳しいでしょう」

一方で避けたいのが、キズ防止のハードコーティングが施されたフローリングや、硬い質感のフローリング。ただ、通常、施工されている一般的なフローリングであれば全面的にリフォームせずとも、カーペットを敷くなどのインテリア面での工夫で、愛犬の腰への負担を軽減することはできるそう。

「まずは、ワンコ自身のお手入れですね。パット(肉球)まわりに無駄な毛があると滑りますので、マメに切ってあげましょう。テリア系の犬なら、爪の手入れもかかさずに短い状態を維持してあげて。また、フローリングは、メンテナンスフリーのもの以外、ワックスがけを忘れずに行ってください。きちんとお手入れをしないと建材の機能が落ち、傷が付いたり滑りやすくなってしまうからです。そして、犬が走りやすそうな廊下と室内の一部にラグやカーペットを敷いてあげましょう。そこなら走っても大丈夫、という空間をつくると犬も学習し、そこでだけ走るようになります」

ただし、このラグやカーペットまわりには、余計なものや家具は置かないようにする。犬が走って興奮状態になるため、噛まれたり、壊されたら困るようなものは、あらかじめ隠しておく必要があるのだ。ちなみに、愛犬家向けに「滑りにくいワックス」なども販売されているが、緩衝性はないので「絶対に滑らない」「腰にいい」と断言できるかどうかは不明とのこと。

金巻さんによると、「犬は飼い主さんと行動をともにしているときが、もっとも幸せ」なのだとか。そのため、前述のラグやカーペットの場所で、飼い主さんがワンコと遊んであげると、「ここはリラックスできて、安全で楽しい場所」と学習するという。

「頭の良い子なら、自らおもちゃをもっていって遊ぼうよ、と誘う子もいます。腰痛対策だけでなく、運動にもなりますし、コミュニケーションにもなる。おすすめですよ」というから、このワンコ用プチプレイルーム、ぜひ取り入れてみてはいかがだろうか。