室内の転倒事故対策 「朝夕」「スリッパ」気をつけて

住まいの処方銭 2015.07.16

 「転んで救急車で運ばれる人、多いですよ」と都内に勤務する看護師のMさんが話す。介護が必要となったきっかけのうち、約12%が骨折・転倒。脳卒中や認知症、高齢による衰弱に続いて第4位(厚生労働省、2013年)。多いのが室内での事故。親や自分のためにも気を配りたい。

 <照明>骨折は「朝」や「夕方」に多い。起きがけに「身体が動きづらい」「夕方になると目が見えづらい」のは年齢問わずあること。そこで、人の動きを感知するセンサーつきライトを用いたい。ホームセンターやインターネット通販で1000円台から。

 <床材>フローリングは滑りやすいが、畳やじゅうたんでも転ぶ。畳は目に沿って足が滑る。じゅうたんではわずかな編み目のつまづきだ。フローリングでは、敷物と床との間に100円ショップで販売されているような滑り止めを用いる。畳は、目と直角に生活するよう、家具の配置や座る場所を考える。じゅうたんは毛が飛び出ていたらこまめにはさみでカットしたい。

 <風呂場や脱衣所>リンスやせっけんカスが床に残り、お風呂から上がる際に滑る。浴室から上がる際には、床下に水を流すクセをつける。脱衣所も濡れた身体から水滴が落ちて滑りやすい。浴室内で身体を拭く習慣を。マットと床との間に滑り止めを置きたい。

 <スリッパ、つっかけ>

 脱ぐ際に転びやすい。用いないのが一番だ。外ではかかとのある靴、室内では裸足か、滑り止めのついた靴下を用いる。

 <床の上の荷物>

 電源コードや雑誌、新聞など。床に置いてあるものにつまづいてしまう。「手に物を持っていて床の上が見えなかった」、「夕方に床の上の透明なスーパーの袋が見えづらく、踏んで滑った」という話もある。日頃から床にはモノを置かない。

 ただし、電源コードを束ねたり、床に釘などで固定したりすると、火災の原因になることも。伸ばして壁側に這わせたい。その際、家具の下敷きにならないよう、注意。

 なお、先のMさんによると、太ももの骨折が多いという。日頃から鍛えるのも大切だ。 (不動産・住生活ライター 高田七穂)