2月23日16時7分配信 ファミ通.com
●有野課長がゲームの見どころなどを説明
美麗なグラフィック、徹底的に作りこまれたゲームシステム、オンラインを介した新しい遊びの数々……。数年まえに一連の新世代ハードが発売されて以来、ゲーム分野における表現の進化は止まることを知らず、エンターテインメントというジャンル全体で見てもそのクオリティーの高さはトップクラスとなっている。しかし、2007年11月にそんな流れとは真逆の“レトロ”という方向からアプローチし、高い注目を集めたタイトルがある。バンダイナムコゲームスのニンテンドーDS用ソフト『ゲームセンターCX 有野の挑戦状』。“有野課長”ことお笑いコンビ“よゐこ”の有野晋哉が、ファミコンやPCエンジンなどのいわゆる“レトロゲーム”をプレイし、クリアーするまでの様子を映した人気ゲーム番組『ゲームセンターCX』に着想を得て開発された作品だ。
同作には“ゲームinゲーム”という形で架空のレトロゲームが多数収録されている。その内容はいずれのタイトルともドット絵で表現されており、システムなどもどこかで見たことがあるような仕上がりで、一定年齢以上のゲームユーザーならニヤリとすること間違いなしの演出が随所に施されているのだ。有野課長自身も“ありの少年”として登場。また、ゲームの監修としても参加しており、アイデア出しおよび細かなアドバイスで、徹底的に作りこまれたレトロ感の創出にひと役買っている。こういったいい意味でのチープさはファミコン世代にとっては懐かしく、ファミコンを知らない世代にとっては新鮮に映ったようで、ソフトは発売と同時に売り切れが続出するほどの人気を見せた。
そして、2009年2月26日にこの作品の続編『ゲームセンターCX 有野の挑戦状2』が発売される。レトロというコンセプトはそのままに、パズル、アドベンチャーといった新ジャンルの“ゲームinゲーム”や、“ありの少年”との対戦機能、シンプルなアクションが延々とプレイできる“ゲートレツール”、日替わりでゲームに挑戦する“本日の挑戦”などの新要素も追加。さらに磨き上げられたレトロが存分に堪能できる作品となっているのだ。
そこで今回、ソフトの発売に合わせて有野課長にインタビューを敢行。監修者の視点とプレイヤーの視点、両方から本作の魅力を語ってもらった。
――今回も企画会議はたくさんされたんでしょうか?
有野課長
「いや、そんなにしてない(笑)。あっ! ひょっとして僕の知らんところでいっぱいしてたんかな。」
――前作ほどは企画部分で関わっていないということでしょうか?
有野課長
「前回はどれくらい関わってたんやろ……、同じくらいじゃないですかね。どちらも思いつきであーだこーだ言ってるんで、そんなに変わらないっすね(笑)。」
――続編の話が来たとき、これは入れたいと思ったネタはありますか?
有野課長
「『ラリーキング』はそのまま出したいなあって思いました。お気に入りの作品なんですよ。ただ、続編で前作のやつをそのまま出すのはあれなんで、ちょっとだけ内容を変えて、ゲームショップで遊ぶという形になっています。そういえば、いまはゲームショップって言うんですよね。昔はオモチャ屋やったのになあ。個人的にもっとこだわるとしたらゲームショップじゃなくて、“オモチャ屋○○”って名前をつけたかったですね。ゲーム内でみんなが「○○行ったあ?」とか、ふつうにお店の話をしていたらおもしろそやなあって思うんですよね。」
――『ラリーキング』を今回も入れられたという希望は叶ったわけですね。
有野課長
「その分、ゴーストをやることになって自分に負荷がかかりましたけどね。1発勝負って言われてたんですけど……思うような結果になれへんかったから「もう1回、もう1回!」、「これはちょっとカッコ悪すぎる」、「ここで事故ってたら何か違うなー」とか言って、いいタイムが出るまでやり続けてやりましたよ(笑)。最終的にはユーザーとエエ勝負になるゴーストができました。見本とかお手本というよりも、中級ユーザーと勝負が張れるくらいのエエ感じのが(笑)。やり込んでる上級者には勝てないでけどね。あ、でもどれが採用されているかは知りませんけど。」
――前作ではシューティングの『スタープリンス』もお気に入りだったそうですが。
有野課長
「そうですね、連打をしなくてもいいってシステムが好きでしたね。『2』に入る新しいシューティング『ガンデュエル』も遊びやすいですよ。『2』全体の中でもお気に入りのタイトルで、何でかって言うとすぐに止められて、仕事の現場でも遊べるから(笑)。」
――そのほかにお気に入りのタイトルはありますか?
有野課長
「アドベンチャーゲームの『課長は名探偵』がディスクのゲームって設定なんで、プレイ中にロードの演出が入るんですけど、そこまでやる必要あったのかなーって(笑)。あと、ゲーム内に『ゲームセンターCX』の人間が何人も出ていて、スタッフの息子まで出てるんですよ。どこまでアットホームやねんって(笑)。思い出作りみたいになってるやないか。そのほかのタイトルもよくできていて、昔のアクションゲームを遊んでいた世代が、いま同じ物を作ったからこんなんになるんやなあって感じに。どれも昔あったアクションに1個要素を乗せたようなのが多いんですよね。いうてもうたらベースは『パックマン』ぽいし『スーパーマリオ』っぽいんですけど、そこにもう1個何か要素が足されていたりして、遊んだ感覚が新しいんですよね。」
――それは、有野課長が子供のときに考えていたことが実現されたような感じですか?
有野課長
「いやー、当時はそんなん想像できてなかったと思いますね。しっかりと考え抜いて、かつ斬新な発想が乗ってるんです。『無敵拳カンフー』ってタイトルでは、ワープするときの表現がおもしろいですね。ステージ内であることをすると、ワープしてボスのところまで飛んでいけるんですけど、その飛びかたが雑ですごい昔っぽい(笑)。こんなのあったなーって感じで、昔のゲームの雰囲気をよく覚えているなあって関心しましたね。それこそ、この作品のスタッフたちは、これからさき新しいゲームを作れるんやろうか? って心配してしまうくらい(笑)。」
――どのタイトルもすごくこだわって作られているようですね。
有野課長
「『ガディアクエスト』では、僕が「1個の村から村へ移動するくらいの規模が入っていたらええと思う」って言ったら、けっこうちゃんと作ってくれたみたいで。1個どこからから何個か村へ行きますし、そこまでせんでもええのにって思いましたよ。それが『2』では『ガディアクエストサーガ』になってて続編を作ってる。やったらやったで、やり過ぎなくらいで……ほんとプロですよね。作った人、プロっぽいなあ(笑)。あと今回は“ゲーム魔王アリーノー”がすごい悪者っぽくなってるんですよ。最初にスタッフから「こんなのになったんですよ」って見せられたとき、どこ変わったん? って感じだったんですけど、『1』のアリーノーを改めて見たら「『1』ふつうやん! 何もないがな」って(笑)。今回はマントがついて王冠もデカくなっているんですけど、初めて見た『2』のアリーノーのほうがなぜか見慣れてましたね。脳内のイメージかな?」
――ありの少年の声は今回もたくさん収録したんですか?
有野課長
「いっぱい収録しましたねえ。収録前日までは3ページくらいの台本だったんですけど、当日行ったら10ページ以上に増えてました。めちゃくちゃ増えてるうえに、「○○をやっている感じで」なんて指示もあるんですよ。だから、そんときは目をつぶって指示されたゲームをやっていると思いながら演じましたね。あと、今回はちゃんと少年らしい声に聞こえるよう、声を張りました。前回はやっていて自分で「あまりにもオッサンの声だなあ」って感じてたんですよ(笑)。今回そんな感じでがんばってみたんですが、収録中スタッフからは「有野さん、声質変えましたね!」とかは何もなく……「いいのかなあ?」と思いながらのソフト発売です(笑)。そんな収録現場でした。」
――“本日の挑戦”では、祝日や祭日には特別なボイスがあるそうですが。
有野課長
「ああ、そんなん録ったなあ! だからセリフの量があんなに増えてたんや。「誕生日おめでとう」ってセリフとか、どこで使うのやろうって思ってましたよ。あと、ゲームショウで録った声も入るそうです。それがどこに入るのかは教えてもらっていないんですが(笑)。そういえばあのとき、僕が「こんなのも録ったほうがええんちゃうの?」って提案したら「いやそれはいいです」ってキッパリ拒否されたなあ……全部ナシナシの方向で、課長のアイデアはまったく通らなかったです。まあ、たくさん録っても容量の問題で入らなかったりもするんでしょうけどね。」
――有野課長考案のゲームトレーニングツール『くぐれ! ギリジャンMAX』は、どういったとこから発想を得たのですか?
有野課長
「番組のスタッフから「ゲームの練習ができるようなものがやりたいんですけど」って言われ、それに応えてみた感じですかね。だいぶまえに携帯アプリでジャンプして上に登っていくだけのゲームを作ったんですけど、そのときの作品に「こうしたらもっとおもしろいなあ」と思えるものを追加してみました。ゲームってけっこうジャンプするじゃないですか。で、落ちる床とかがあったら「これ落ちるんやろなー」ってソワソワしながら進む。僕の理想としては画面外でずーっとジャンプして上がっていくようなのがよかったんですけど(笑)、蓋を開けてみると全然違って、ずーっと自分は見えてる。あと床がちょっと滑るようになっていたり、死ぬたびにマップが変わるっていう要素もあって……僕が思っていたよりもエエ感じになってました。ほんま、作った人プロっぽいなあ(笑)。」
――前作を作った際、『ドルアーガの塔』と『アトランティスの謎』を融合させた作品を作りたいと言っていましたが、そちらはどうなったでしょうか?
有野課長
「ああ、100画面100フロアのやつですね。あのアイデアは今回も採用されませんでした。容量不足なんですかね……。もし『3』が出せたら、そのときに「お兄ちゃんがこんなゲーム持ってた」って感じで伝説のゲームとして出したいですね。あと、「何やこのゲーム!?」っていうようなのを1個入れたいなあ。目的が何かもよくわからないような……それこそ、押したボタンを確認するソフトでもいいかな。僕昔ゲームショップで見たんですよ、ボタンを押したら対応した色が画面に点くってやつを(笑)。「何じゃコレ!?」っての。そんなのがあってもおもしろいなあ。」
――ちなみに、限定版には特典DVDが同梱されるそうですが、そちらはどういった内容になるのでしょう?
有野課長
「『ラリーキングex』のゴーストを収録している様子とかで、前作から『2』につながるものになってますね。あと、スタッフが自分でクリアーできないところをやってあげるとか(笑)。1個クリアーすると「おめでとうございます」じゃなくて、「ありがとうございます」って言われて、完全に業者ですよ。プライベートで散髪屋さんの店員の女の子から『1』の『ラリーキング』がどうしてもクリアーできないって言われたから、散髪してもらいながらずーっとそれを遊んでクリアーして返してあげた……っていう話をスタッフにしたからだと思うんですよ、そもそものきっかけは。あんまプライベートな話はここのスタッフに言わないようにしとこうって、そのとき心に誓いました(笑)。」
――最後にゲームの見どころをお願いします。
有野課長
「悪くなったアリーノーですね。あとやっぱアレかな、『課長は名探偵』のロード画面の間! ゲーム内でフロッピーをガシャンと入れてからちょっと待たなあかん(笑)。ニンテンドーDSはロムなのに、ゲーム内でちょっと待たされるというのはおもしろいですから、これは見どころですよ。何で待たされなあかんねんって(笑)。恐らく、スタッフがどれくらいの時間がちょうどいいか? っていうのを緻密に計算してのロード時間だと思います。まあ、ロードされてへんけどね(笑)。」
※『ゲームセンターCX 有野の挑戦状2』公式サイト
http://www.bandaigames.channel.or.jp/list/gamecenter_cx/