パトカー接触事故のきっかけは、「イタい女」の虚偽通報だった…。19日夜、愛知県の無職女(20)が堺市内から、見知らぬ男の車に拉致されたという趣旨の110番。それを受け、一大事とばかりに緊急出動した大阪府警の覆面パトカーが、バイクと接触する事故を起こしてしまった。しかし女はその後、「けんかした彼氏の気を引くため」にうそ通報をしたと自供。とんだ迷惑をこうむった大阪府警では、女を軽犯罪法違反の疑いで調べている。
大阪府警西堺署や北堺署などの調べによると、19日午後8時50分ごろ、堺市北区金岡町にいるという女から携帯電話で「(同区の南海電鉄)中百舌鳥(なかもず)駅近くで、知らない男に声をかけられて車に無理やり押し込まれ、胸などを触られた」という内容の110番通報があった。重大な拉致&わいせつ事件の可能性があったため、府警では複数のパトカーを緊急配備した。
しかし、緊急走行中だった1台の覆面パトカー(普通乗用車)が、同午後9時14分ごろ、堺市西区北条町の「北条町1丁」交差点で、同市在住の男子専門学校生(18)が運転する25CCバイクと接触。バイクは前輪がパトカーの右側面後部にぶつかって転倒し、専門学校生は右足と右腕などに全治10日~2週間の切り傷などを負った。
同交差点は府道が交わっている。覆面パトカーは西から東に向け、サイレンを鳴らしつつ赤信号を一時停止して安全確認後、通過しようとし、バイクは南から北に向けて走行していたという。
その後、府警の警察官が女の元に到着。詳しく事情を聴くと、通報にはつじつまが合わない点がいくつもあることが判明した。北堺署に任意同行を求め、さらに話を聴くと、女はあっさり自作自演の「虚偽通報」だったと自供。実際、拉致被害などはなく、女は「大阪に住む大学生の彼氏とけんかし、彼氏の気を引きたくて虚偽の110番通報をしてしまった」という趣旨の説明をしたという。
女は現在無職で、愛知県在住。自宅で姉とけんかした後、大阪の大学に通う交際相手の男性に会うため19日、大阪入り。なぐさめてもらおうと、男性に姉とのけんかを打ち明けたが「お前が悪い」とかばってくれなかったため、男性ともけんかに。その後1人になった時、男性との「思い出の場所」という中百舌鳥駅近くに行き、迷惑極まりない「自作自演」を思いついたようだ。
府警ではこういった供述そのものが真実なのかどうかも含め、軽犯罪法違反(虚偽申告)容疑での書類送検を視野に入れ、詳しく調べている。