県は26日、08年度の県立4病院が報告した医療事故などの件数を公表した。医療事故が764件(前年度比20件増)、実害はないが医療従事者が危ないと感じた「ヒヤリ・ハット事例」は3089件(同277件増)で計3853件。調査を始めた05年度以来3年連続で増えた。
県病院局によると、公表の対象となるのは心臓血管センター、がんセンター、精神医療センター、小児医療センターの県立4病院。05年度から医療事故は重大さに応じて6段階にレベル分けして公表している。
ヒヤリ・ハット事例を含めた発生件数は多い順に、薬の処方量を間違えるなどの与薬が732件、点滴の管の使い方を誤ったものが633件、患者が転倒したものが535件だった。
08年度に起きた医療事故のうち、最も重いレベルに分類された1件は、夜間に病室出入り口で倒れていた患者が、硬膜下血腫だったという事例。病院側は、患者が夜間、トイレに行く時にはナースコールをするよう、患者に要請するという対応策を取った。
次に深刻なレベルの事例は27件あった。足の腫れを感染症と診断したが退院後に骨折であったことがわかったものや、点滴用の管が心臓に達した事例があった。
調査は医療現場での事故が起きる危険を知り、未然に防ぐのがねらい。発生件数の推移は05年度2999件、06年度3398件、07年度3556件だった。
医療事故の報告件数が増えたことについて県病院局総務課は「調査開始から4年がたち、ささいなことでも報告する姿勢が医療現場で浸透したため」と分析している。