新潟国体、滋賀の躍進続く

第64回国民体育大会「新潟国体」は5日目の30日、14競技が行われた。県勢は、ボート成年女子ダブルスカルが優勝、同成年男子シングルスカルの溝辺達也選手(東レ滋賀事業場)が準優勝と期待通りの活躍。レスリングでは前回2位の成年男子グレコローマン66キロ級の清水博之選手(自衛隊体育学校)が自身初の国体制覇。同60キロ級の倉本一真選手(山梨学院大4年)は惜しくも決勝で敗れた。少年女子10メートルエア・ライフル立射20発では黄瀬優稀選手(水口高3年)が準優勝した。(対比地貴浩)

◆ベテラン破り自信 レスリング成年男子グレコローマン66キロ級の清水博之選手
 冷静な読みが「巨人」を退けた-。レスリング成年男子グレコローマン66キロ級の清水博之選手(自衛隊体育学校)。同60キロ級で全日本選手権7連覇、シドニー、アテネ両五輪日本代表の強敵、笹本睦(まこと)選手(綜合警備保障)との接戦をものにし、国体初優勝をたぐり寄せた。

 清水選手が高校1年でレスリングを始めた当時、笹本選手は既に日本一として君臨。現在は31歳のベテランだ。だが、清水選手も今や日本代表に選ばれる実力者。「(笹本選手の)力は衰えてないが、66キロ級のキャリアは自分が上。負けられるわけない」

 決勝は最終ピリオドまでもつれた。両者ゼロポイントのまま1分半が経過。この場合、四つんばいになって耐える「防御」と、それをひっくり返すか持ち上げて投げる「攻撃」に分かれて再開する。

 第1、2ピリオドの合計ポイントでリードし選択権があった清水選手。当初は攻撃を選ぶはずだったが、「相手の動き方が読めていた」。したたる汗で体が滑ることも計算。30秒を見事に耐え抜き、日本一の座をつかんだ。

 国体を制し、次は「2012年のロンドン五輪です」とさらなる高みを見据える。かつて雲の上の存在だった名選手を倒した自信は、大舞台への大きな糧になりそうだ。

◆上田・黄瀬組、2位に大差の勝利 ダブルスカル成年女子
 全レーン横一線の状況から勝負をかけた。終盤の750メートル地点からぐんぐん加速し、そのままゴールへ。ボート成年女子ダブルスカルで優勝を決めた県選抜の上田佳奈子選手(慶応大2年)は勢い良く振り返り、舳先(へさき)側の黄瀬春奈選手(瀬田漕艇倶楽部)とがっちり握手を交わした。

 2人で本格的にボートをこぎ始めたのは、9月の全日本選手権大会後。ダブルスカルはオールの動きを一致させられるかが鍵。8歳の年齢差だが中学、高校とも同じボート部出身だからか、黄瀬選手は「相性は問題なかった」と振り返った。

 決勝当日は波も風もほとんどない好条件。すべてのボートが順調にスピードを上げ、競り合う。上田選手の脳裏に前日の準決勝がよぎった。

 「途中まで3位だったけど、終盤のスパートで首位に。今回も同じ状況。仕掛けないと勝てない」

 黄瀬選手も考えは同じだった。息を合わせ、両腕に力を込める。体力に不安はない。残り100メートル地点で、進行方向と反対の向きでボートをこぐ相手の背中が視界に。2位に2秒以上もの差をつけての勝利だった。

 「優勝できて良かった」と笑顔の上田選手。黄瀬選手も「来年の国体でダブルスカルをやるかは分からないが、絶対に出場したい」と誓っていた。

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