7月26日14時1分配信 毎日新聞
九州北部を襲った24日の記録的豪雨で、北九州市では紫川沿いを中心に避難勧告・指示が出された。25日午前9時半までにすべて解除され、市内では後片付けが始まった。小倉北区の神嶽(かんたけ)川にせり出して建物が並ぶ旦過市場では深さ数十センチまで浸水したため、店主らが水浸しになった商品の片付けや店内の掃除に追われていた。
市場で天然石を販売する内藤美香さん(42)は24日午後7時ごろに店を閉めたが、同8時ごろ「水浸しになっている」と電話で知らされ、同9時ごろには店に戻ったという。「7年間営業していて初めて。床に置いていたスピーカーや伝票が水浸しになった」
薬局経営の伊達素子さん(69)は25日午前9時から片付けを始めた。「掃除に2、3日はかかる。営業どころじゃない。不景気なのに……」と肩を落とした。市場近くの金物店店主、藤田洋志さん(67)は浸水の心配はしていなかったという。しかし25日朝、いつも通り出勤すると、床一面の泥水。「(掃除するために)ホースやデッキブラシを買いに来る人も多い」
小倉北区馬借の家電量販店は1階駐車場を封鎖した。男性従業員(46)は「泥で床が滑りやすくなっているため。1階倉庫の商品もぬれてしまった」と疲れた表情で話していた。【佐野優】
◇一時615人避難
北九州市危機管理室によると、市内の被害は▽死者1人▽住宅の一部損壊10棟▽床上浸水23棟▽床下浸水51棟▽がけ崩れ23カ所(25日午後8時現在)。避難勧告・指示で最寄りの公民館などに避難した住民は25日午前1時現在の615人がピークだった。午後3時半までに全員帰宅したという。
市下水道河川部計画課によると、降り始めから25日午後5時までの総雨量は▽小倉南247ミリ▽八幡東241ミリ▽小倉北230ミリ▽八幡西212ミリ▽若松208ミリ▽門司205ミリ▽戸畑204ミリ。
一方、24日夜に川から水があふれたことが確認されたのは▽紫川=小倉南区徳吉東の桜橋付近と同区下南方▽神嶽川=小倉北区魚町4。いずれも紫川水系だった。警戒水位を超えて避難勧告・指示が出された地区も同水系に集中した。同課は「降雨が局所的だったためでは」とみている。【長谷川容子】
〔北九州版〕