昨年の労災死者は1・8倍 栃木労働局管内

5月27日7時56分配信 産経新聞

 栃木県内で昨年、発生した労働災害による死者は26人に上り、前年の約1・8倍に増加したことが栃木労働局のまとめで分かった。全体の死傷者も大幅に増えており、労働局は「厳しい経済状況の中で経費が削減され、安全管理が不十分になっていることが考えられる」として対策の強化を呼びかけている。

 労働局によると、平成20年に全国で発生した労災による死傷者は12万9026人で前年より1・9%減少。しかし、県内の死傷者は前年より126人(6・6%)多い2035人で、そのうち死者も前年の14人から26人へと増加した。

 死傷災害の主な業種の内訳は、商業や保健衛生業などの第3次産業813人▽製造業623人▽建設業303人▽道路貨物運送業237人-など。

 労働局は「サービス業に従事する人が増えており、その他の業種の労災が近年減少傾向にある中で、第3次産業では増加している」としている。

 死者26人の業種は、第3次産業11人▽製造業7人▽建設業6人▽道路貨物運送業1人▽林業1人-など。年齢別では50代が8人と目立ち、20、30代もそれぞれ5人が亡くなった。死亡労災の主な発生状況は「交通事故」が7人と全体の約27%を占め、次いで「墜落・転倒」、「挟まれ・巻き込まれ」がそれぞれ4人だった。

 昨年2月21日には、日光労働基準監督署管内で男性工事作業員(57)が、墜落防止用のベニヤ板を撤去中に足場から約8メートル下に墜落して死亡。安全帯を使用させるなどの法律の定める対策が取られていなかった。

 また同年3月7日には、壬生町の自動車部品製造工場でマグネシウムへの引火による爆発事故があり、男性従業員2人が死亡、1人が軽傷を負った。

 労働局は今年1月、県内1317事業所を対象に、危険性や有害性を特定してリスクを見積もり対策を講じる「リスクアセスメント」に関するアンケート調査を実施。回答を得た807事業所の実施率は44・6%だった。

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