徒歩で会社へ“一石三鳥” 美容、節約、エコに通キング 福岡市 快適ヒールなど人気

4月8日15時7分配信 西日本新聞

 美容と健康のためにウオーキングをしたい。でも時間がない。そんな女性たちの間で、徒歩通勤が注目を集めている。百貨店などでは、歩きやすくて職場でも履ける「併用靴」の品ぞろえが豊富になってきた。「二酸化炭素(CO2)の削減にもなる」と、行政も推奨活動に乗り出した。ちょっとした「通(ツー)キング」ブームだが、その裏には不況の影響もうかがえる。九州一のビジネス街・福岡市で取材した。

 ●メタボ、CO2対策…行政も支援

 中央区天神の百貨店。婦人靴売り場は、安定感のあるハイヒールや中敷きに衝撃吸収素材を使ったパンプスなど、歩きやすさとおしゃれを両立させる靴がずらりと並ぶ。

 スニーカーだとファッションに合わず、職場で履き替えるのも面倒‐。そんな働く女性に好評で、岩田屋の売り場担当者は「メーカーも商品開発に力を入れており、若い世代に好まれるデザインが増えた」。博多大丸も「我慢して手持ちのヒール靴で歩いていた人が買い替えるなど、注目度が高まっている」という。

 大丸でパンプスを買った中央区の会社員女性(34)も「通キング」を始めた1人。転職を機に通っていたジムをやめ、職場から自宅までの約3キロを歩くようにした。以前は駅までバスを使っていた南区の会社員女性(25)も「ボーナスも減ったし、交通費の節約も兼ねて」と片道30分かけて歩いているという。

 一方、福岡市交通局は昨年9月から「駅まで歩く、駅から歩く」をスローガンに「サブウェイ ダイエット」をスタートさせた。地下鉄の1人当たりのCO2排出量は車に比べて少ないことから、担当者は「マイカーやバス通勤を徒歩と地下鉄に変えれば、健康とCO2のダイエットになる」とPR。これに早良区役所が相乗りして今年2月、市営地下鉄七隈線の駅までの時間と消費カロリーを示したウオーキングマップを作製した。

 「手軽な運動でメタボリック症候群対策にもなる。『駅まで歩いている』という声もよく聞くようになった」(同区地域保健福祉課)。

 広がりを見せる「通キング」だが、通常のウオーキングと違い、人込みを歩いたり、荷物を持ったりするので、注意したい点もある。

 中央区大名で「足と靴のカウンセリングショップ メリーグラシス」を営む中村美賀子社長は(1)足が靴の中で動かないよう5本指のストッキングや靴下を履く(2)姿勢が偏らないようにかばんは左右に持ち替えて(3)帰宅時のむくみを防ぐため、昼間に足首を回しておく(4)中敷きに滑り止めシールを張るなどして靴擦れを防ぐ‐などとアドバイスしている。
 (社会部・仲山美葵)

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