農林水産省は、建設業など一般企業の農業への参入をさらに促進するため、2009年通常国会に農業経営基盤強化促進法改正(案)を提出する方針だ。農業に参入している一般企業は、08年9月時点で320社。同省はこれを11年3月までに500社にしたいと考えており、一般企業に農業への参入機会を提供する仕組みとして同法が規定する特定法人貸付事業(農地リース制度)の見直しを進めている。
建設業は、08年9月1日現在104社が農業に参入している。05年3月時点では参入企業は57社にとどまっていたが、同省が05年に、それまで構造改革特区でしか認めていなかった株式会社による農地の貸借(リース)を全国展開したことによって2年半の間に倍増。建設業の参入企業は全体の32.5%を占め、農業に参入している企業が最も多い業種となっている。
しかし、その一方で、現行の特定法人貸付事業(農地リース制度)は、「制度が複雑すぎる」「耕作放棄地や、同地になりそうな農地などが参入区域とされていること自体、営農条件が不利」―などと指摘されており、参入を検討している一般企業などからは、制度の見直しを求める声も上がっている。
現行制度は「耕作放棄地や、放棄地になりそうな農地などが相当程度存在する区域」を「参入区域」として、市町村が策定する農業経営基盤強化促進基本構想の中にあらかじめ設定することになっている。
その上で、市町村(または県の農業公社)などの農地保全合理化法人が、「参入区域」を農地所有者から借りるか購入し、参入を希望する一般企業と「事業の適正・円滑な実施を確保するための協定」を締結してから、貸借権(リース)を設定するといった、複雑な制度となっている。また、この制度は、参入する一般企業に対し、業務執行役員のうち1人以上が耕作または養畜事業に常時従事することを求めており、参入の壁は決して低くない。
同省は、農業の担い手を確保するために一般企業の新規参入を促進したい考えだが、その一方では、営農目的以外の一般企業の参入による農地の荒廃も懸念しており、省外から「参入障壁」と見られずに営農を担保できる仕組みづくりに苦慮している。
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