GPファイナルきょう開幕 フィギュアスケート

12月12日8時3分配信 産経新聞

 【高陽(韓国)=榊輝朗】フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナルはきょう12日、開幕する。11日は公式練習を行い、男子で初出場の小塚崇彦(トヨタ自動車)は、ジャンプでミスを重ねるなど初の大舞台へ緊張感が漂った。女子は安藤美姫(同)がフリーの曲目をこれまでと変えて調整。NHK杯優勝の浅田真央(愛知・中京大中京高)はジャンプを、中野友加里(プリンスホテル)は演技全体を確認した。

 12日は男女のショートプログラム(SP)などが行われる。

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 初めて踏むGPファイナルの舞台は恐ろしい。小塚は心と体の“自由”を奪われていた。「自分がパニクってる。落ち着いてない感じが、練習でも出てしまった」。何度も首をかしげた40分間を終えると、19歳は正直に言葉をつないだ。

 練習の冒頭にトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)で着氷したが、4回転では転倒し、3回転-2回転のコンビネーションでもミス。「消化不良。気持ちが自分の中になくて」。目に見えない重圧の影が忍び寄り、集中力を欠いていた。

 10日の練習では、優勝したスケートアメリカ、2位だったフランス杯で転倒した4回転トーループに2回挑戦し、1度は成功。「回っていたし感触はいい」と威勢がよかったが、わずか1日で別人のように苦悩をにじませた。

 父の嗣彦さんは1968年グルノーブル五輪代表、母の幸子さんも全日本選手権メダリストのフィギュア一家に育ったサラブレッド。世界で活躍し始めた今季、選ばれし6人が集う場で、小塚が次に越えるべきハードルが、はっきりみえた。

 12日には本番が来る。「SPは自分ができるものしか入っていない。思い切りジャンプを跳んでステップを踏みたい」。自らの背中を押すように力を込めた。大舞台で「自分」を出し切れば、持ち前の確かな技術を支える強さが加わる。(榊輝朗)

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 ■2つの「ジゼル」解消 安藤が曲目変更

 耳慣れない旋律がリンクを包んだ。安藤がフリーの曲目を変えた。「これまでは自分を取り戻したくて曲を変えてきたけど、今回はプラス思考です」。サンサーンスの交響曲第3番「オルガン付き」に、「滑りやすい」と笑顔が広がった。

 今季の「ジゼル」は中野友加里と同じ。「(同じ曲で)演技が続くと印象が薄くなると考えた」と安藤。11月上旬の中国杯前、数曲の中からニコライ・モロゾフ・コーチと強弱ある曲を選んだ。少しでも得点を伸ばしたい思いが背中を押した。

 ただ、多くの選手は1シーズン同じ曲を舞って精度を上げる。昨季の世界選手権で安藤は、SPの曲を一昨季のものに変更。8位に沈みフリーは棄権した。リスクを承知しての決断は“もろ刃の剣”だ。フリーの演技では「フィーリングに合っている」姿を見せたい。(榊輝朗)

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