街路樹診断協会(桜井清会長)主催による国際シンポジウム「世界の樹木管理とリスクマネジメント~都市における樹木との共生~」の大阪講演が27日、大阪市内で開催され、業界・行政などの関係者ら約400人が参加し、樹木管理の現状やリスクマネジメントについて理解を深めた。
冒頭、あいさつに立った同シンポジウム実行委員会の笠松滋久会長は「樹木は環境改善のシンボル的な存在。ただ、傷んだ樹木は事故を引き起こす危険な存在にもなる。リスクマネジメントを学ぶことは健全で生き生きとした樹木を未来にまで育んでいくことにつながる」と述べた。
引き続き、樹木医でエコル代表取締役の神庭正則氏が「日本の街路樹について-街路樹診断の歴史と現状」をテーマに講演。倒木などによる事故事例を紹介した上で、内科的要因と外科的要因の2段階で判定するVTA法による樹木診断の仕組みなどを説明した。
このほか、オリバー・ウィテック氏(ドイツ・カールスルーエ研究センター研究員)が「樹木による事故の判例と見解」をテーマに、これまでの樹木管理に関する判例などを紹介。ハン・リーリー氏(中国・北京園林科学研究所所属)は「北京五輪における都市緑化の取り組み」として、オリンピック会館と周辺園林建設の計画実施に当たっての取り組みなどを紹介した。
午後からは、NPO法人おおさか緑と樹木の診断協会の澤田清顧問が「おじいさんの木のマネジメント“箕面小学校のカキノキより”」、トーマス・スマイリー氏(アメリカ・バートレット樹木調査研究所研究員)が「樹木のリスクマネジメントについて」をテーマに講演。終了後に、講師が回答者となり質疑応答した。
講師として参加した細野哲央千葉大学大学院園芸学研究科博士研究員は「倒木などで表に出てこない事故はたくさん起きている。これからの時代、植栽管理者の法的責任と適正な管理が求められている」と語った。
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