イタリア「ビアンキ」ブランドの自転車で走行中に前輪が外れて転倒し、障害を負ったのは車体の欠陥が原因だとして、茨城県つくば市の会社社長中島寛さん(60)らが五日、製造物責任法(PL法)に基づき、輸入元の「サイクルヨーロッパジャパン」(東京)に約一億六千万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。
訴状によると、中島さんは二〇〇八年八月、自転車で出勤途中に前輪が脱落し、前のめりに顔から転倒。頸椎(けいつい)を損傷し、首から下がほぼまひする障害が残ったとしている。中島さんは「前輪とハンドル部分をつなぐ金属製のバネがさびて折れた」として構造上の欠陥が原因だと主張している。
自転車は、日本国内のメーカーから注文を受けた台湾のメーカーが製造し、ビアンキの商標使用権を持つサイクル社が台湾から輸入していた。PL法は製造者と輸入者の損害賠償責任を定めている。だが、同法が規定する製造者が国内メーカーか台湾メーカーなのか不明なため、輸入したサイクル社のみを訴えたという。
中島さんは東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見し、「どの会社もこれまで知らんぷりだった。こんな事故が起きないよう、一刻も早くリコールのような対策を」と話した。
サイクル社は「大変なけがをされて、お気の毒です。詳細は裁判で明らかになっていくだろうと考えております」としている。