三重県東員町北大社の猪名部(いなべ)神社で3日、県無形民俗文化財の「上げ馬神事」があり、馬が坂を駆け上る際に転倒し首の骨を折って死ぬ事故があった。石垣光麿宮司(55)は「足の骨折はまれにあるが、死ぬのは記憶にない」と話している。乗り手にけがはなかった。
上げ馬神事は800年以上の歴史があるとされ、急な坂の先にある高さ2メートルの土壁を乗り越えた回数で豊作などを占う。この日は12頭が参加した。
東京や三重の動物愛護団体が「馬をけり上げるなど虐待行為がある」と指摘したことから、県教育委員会の職員や県文化財保護審議会の委員4人が調査に訪れていた。馬が死んだことについて委員の一人は「いじめているわけではなく、虐待とは別の問題」。別の委員は「どの程度が虐待かの判断は難しい。きょう見た範囲では文化財指定の解除は考えにくい」と話した。
上げ馬神事は同県桑名市の多度大社でも5月に行われ、調査した上で文化財指定を続けるかどうかを決める。
(中日新聞)