阪神大震災から15年を迎えた17日、豊岡市但東町で市の震災総合防災訓練があった。消防や警察、自衛隊、地元住民に加え、市と災害時応援協定を結んでいる建設業や自動車整備業の業界団体の関係者ら約600人が参加。情報収集や負傷者の救出などの訓練に取り組んだ。
訓練は、84年前に豊岡市などが大被害を受けた北但大震災の発生日に合わせて昨年5月に予定されていたが、新型インフルエンザへの対応のため延期。17日に開くことから県の「1・17は忘れない」地域防災訓練としても位置づけ、市と但馬県民局が共催した。
午前10時に防災行政無線で地震の発生が放送され、訓練が始まった。但東町でマグニチュード7・3、震度6強の大地震があり、多数の死傷者や家屋の倒壊などが発生したとの想定で、市は但東総合支所内に災害対策本部や現地対策本部を設置した。
対策本部では、集まった市幹部らが被害状況の情報収集や対策を検討し、自衛隊や県への応援要請などの手順を確認した。「死者5人」「家屋倒壊10棟」など、集まった情報がホワイトボードに次々と書き加えられていき、スクリーンには県の消防防災ヘリが上空から撮影した被害地域の画像が映し出された。
総合支所前広場では倒壊家屋や転倒した車、がれきの中に取り残された負傷者の救出や、負傷者の治療の優先度を決めるトリアージを訓練。倒壊した家屋を再現した「セット」で警察官がチェーンソーで屋根に穴を開けて「負傷者」を救出。医師や救急隊員が「名前を言えますか」などと呼びかけ、トリアージの結果を記したタグをつけた。一般市民もバケツリレーによる消火などを体験した。
訓練後の閉会式では、参加した市職員らが阪神大震災の犠牲者を哀悼して黙祷(もく・とう)した後、中貝宗治市長が「実際の災害ではシナリオ通りにはいかないのが当たり前。今日の訓練を踏まえ、何か足りないところはないのか、よりよい体制にするため一人ひとりが考えてほしい」と話した。