高齢者に多い転倒事故の原因を探ろうと、京都府亀岡市の篠町自治会が立命館大などと協力し、高齢者の運動能力を科学的に分析する調査研究をこのほど始めた。同大学が開発した計測器を身に着けて生活してもらい、歩行時のバランス感覚などを測定する試みで、転倒予防体操の効果検証などにも役立てる。
高齢者の転倒事故は太ももの骨折などを伴いやすく、寝たきり生活につながるケースも多い。部屋のわずかな段差につまずくなど運動能力の低下が要因とされるが、通常の身体測定や検診では、歩行時など運動中の姿勢や体の動きが把握できなかった。
同自治会は、府南丹保健所と協力して毎月1回、60歳以上の住民を対象に転倒予防体操を取り入れた健康教室を開いている。体操の効果検証も兼ね、科学の目で高齢者の運動能力を調べることにした。
今月3日に第1回の測定を行い、24人が参加。塩澤成弘・立命館大経営学部准教授の開発した歩数計型の測定器を腰に着け、いすからの立ち上がりや、速足歩行、段差をまたぐ障害物歩行などの動作を行い測定した。参加者には引き続き測定器を着けたまま生活してもらい、家事や買い物など日常生活でどれくらい体を動かしているかを調べる。
測定器のデータを分析すれば歩行時の筋力や体のバランス感覚が分かるといい、塩澤准教授は「加齢による運動能力の変化に応じた転倒予防プログラムの開発などにつなげたい」と話している。