「フィギュア、グランプリファイナル第1日」(3日、代々木第一体育館)
男女シングルの公式練習が行われ、男子は3季ぶりの激突となる織田信成(22)=関大=と、高橋大輔(23)=関大大学院=が調整した。今季GP2戦2勝の織田は4回転-3回転の連続ジャンプを何度も決めるなど、絶好調。中国杯で“社会の窓”が開いてしまった衣装も修繕が完了し、万全の状態で出陣する。高橋も4回転以外のジャンプは好調で、ライバルとの対決に闘志を燃やした。女子も安藤美姫(21)=トヨタ自動車=が、調子の良さをアピールした。今大会の日本人最上位のメダリストは、10年バンクーバー五輪代表に内定する。
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身体中から調子の良さがみなぎっていた。織田にとっては悲願の五輪切符獲得への最終調整。練習開始から3回転ジャンプを次々と決めていくと、今や代名詞となったフリー曲「チャップリン・メドレー」に合わせて、コミカルな振り付けを入念に確認。そしてここからが見せ場だった。
最初こそ転倒したが、4回転-3回転のコンビネーションを3回連続で成功。終了間際には単発でも4回転ジャンプをきっちり決めた。「調子はいいですね。4回転-3回転を入れるかは、SPが終わってからコーチと相談して決めたい」。勝利へのカギとなる大技を次々と決め、出陣への準備は整った。
精神的な不安要素も、もうなくなった。11月の中国杯では優勝こそ飾ったものの、フリーでズボンのファスナー「社会の窓」が全開となるハプニング。多感な22歳の心は、大きな傷を負った。それでも今大会に向けて衣装を修繕に出し、チャックを強化。「修理しましたからもう大丈夫。ズレることはないです!」と、笑顔で言い切った。
今季GP2戦2勝、今季GP最高得点(242・53点=フランス杯)を誇る男には、日本勢初のGPファイナル制覇の期待が懸かる。落選したトリノ五輪の代表選考でも争った宿命のライバル・高橋も顔をそろえる中、モチベーションは最高潮だ。「まずは自分の演技に集中したい。(高橋を)意識はしないけど、五輪を決めて早く安心したい」。4年の時を経て、たくましさを増した織田信長の末裔(まつえい)は、“天下獲り”への機運を感じている。