2011年度までの3カ年で高次脳機能障害の患者とその家族のネットワークづくりを目指す仙台市青葉区のNPO法人「ほっぷの森」が、同障害者の実態把握のためのアンケートに取り組んでいる。外見では分かりにくく「見えない障害」と呼ばれる同障害は診断が難しく、福祉サービス事業所の選択肢も少ない。ほっぷの森は、結果を基に支援ニーズを掘り起こし、自立と社会参加をサポートする支援体制も築く方針だ。
アンケートは、本人編と家族編の2パターンで実施している。本人編では現在の生活や社会参加の状況、障害者手帳の有無、必要としているサポートなどを質問。家族編では同様の項目をより詳しく尋ねている。
同障害者の支援モデル事業の拠点となった東北厚生年金病院(宮城野区)をはじめ、医療関係者、保健師らの協力を得て、9月末に始動した。10月中旬にはブログを開設し、電子メールでの回答もできるようにした。
アンケートと並行して県内7保健福祉事務所の圏域ごとに同障害者のグループインタビューを行い、受傷の原因やニーズの把握に努めている。
一連の取り組みは、NPO支援を目的に、せんだい・みやぎNPOセンターと県が運用する基金「みやぎNPO夢ファンド」の助成を受けて実施している。
ほっぷの森は10年度、行政機関などが持つ情報をタイムリーに提供するシステムを構築し、講座を開催するなどして支援の輪の拡大を目指す。11年度は恒常的に情報の受け皿と発信源を担う同障害ネットワーク会議(仮称)を設立し、課題や政策を国などに提言することを目標に据えている。
アンケートは、12月中旬まで行う。ほっぷの森の後藤まつ子事務局長は「正確な実態を把握するためにも、より多くの人に協力してほしい」と話している。専用連絡先は090(1063)8051。
[高次脳機能障害] 脳梗塞(こうそく)などの脳血管障害、交通事故や転倒に伴う頭部外傷、脳炎、アルコール中毒などが主な原因とされる。記憶障害や集中できなくなるなどの注意障害、目的にかなった行動ができない遂行機能障害などが現れる。精神障害者保健福祉手帳の申請が可能。条件を満たせば介護保険の申請もできるほか、障害年金の受給対象になる。しかし、診断が難しく、変調に気付くのも遅れがちになり、障害者数の実態は把握し切れていない。