下関三井化学工場で爆発、5人けが

4日午後1時25分頃、山口県下関市彦島迫町の下関三井化学(岸元忠良社長)の工場で爆発が起き、三フッ化窒素のプラントがある鉄骨平屋の工場約1500平方メートルを全焼し、作業員ら5人が負傷するなどした。

 爆風で近くの住宅など37棟の窓ガラスが割れたり、屋根が壊れたりするなどし、住民も一時避難した。県警は5日、業務上過失傷害容疑で同社事務所を家宅捜索し、工場で現場検証をする。

 県警や同社の発表などによると、同社の業務委託先の従業員河島正明さん(29)が顔などに軽いやけどをし、男性従業員(53)が転倒してけが。工場近くの住宅で風呂工事をしていた男性(40)が飛んできた瓦で指を切ったほか、付近に住む80歳代の女性が手に切り傷を負い、60歳の女性ものどの痛みを訴えた。さらに車30台にもガラスが割れるなどの被害が出た。

 同社によると、爆発があったのは、半導体製造装置の洗浄などに使用する三フッ化窒素をタンク(直径0・6メートル、長さ6メートル)に充填(じゅうてん)するプラント。河島さんが充填作業をしており、破裂音とともに煙が上がった。同僚が駆けつけたところ、河島さんが工場の外で倒れており、その後、爆発が3回起きたという。
火災は約3時間後に鎮火し、一時は黄色の煙が高さ数百メートルまで立ち上った。三フッ化窒素は、高濃度で吸うと死亡する場合もあり、高温では鉄と反応して発火する恐れがあるという。

 工場はJR下関駅の南西約3キロの工場地帯にあり、下関市消防局によると、住宅への被害は工場から半径200~300メートルに及んだ。同市はガス漏れの恐れもあるとして、住民約1230人に自主避難を呼び掛け、一時は約30人が近くの公民館に避難した。

 同社の前身は1922年に操業を始めた三井化学下関工場。三井化学の100%子会社として2000年9月に設立され、農業用の化学肥料や三フッ化窒素などを製造しており、08年度の売上高は約160億円。

(2009年11月5日 読売新聞)

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