JR東海は東海地震に対する対策として新たに、東海道新幹線の線路に「脱線防止ガード」を設置し、脱線しても車両の横転を防ぐ「逸脱防止ストッパ」の取り付け工事に入ることを明らかにした。JR東日本はすでに車両の転倒を防ぐ「L型ガイド」を導入しており、大きな地震を想定して新幹線でさまざまな地震対策が進められている。
JR東海はこれまでも地震警報システムの導入や、隣接する高架橋を連結して地震時に生じる狂いを抑制するといったさまざまな地震対策に取り組んできた。今回、工事に入る「脱線防止ガード」は初の試みで、平成16年10月、マグニチュード(M)6・8を記録した新潟県中越地震で上越新幹線が脱線した際、「初期段階で脱線を防ぐことが必要」(同社)と、5年がかりで研究を進めてきた。
同社によると、「脱線防止ガード」は、高速で通過するために被害が大きいと予想される分岐器の手前の区間を中心に軌道延長140キロメートルにわたり設置。線路内側にレールと並行して金属のガードを取り付ける。地震で線路が左右に揺れると、車輪がレールと衝突し、その反動で反対側の車輪が浮き上がる「ロッキング脱線」を防ぐという。
「逸脱防止ストッパ」は700系とN700系の車両計142編成の台車中央部に設置する。万一、脱線した場合でも、車両が線路から大きく逸脱するのを極力防ぎ、被害を最小限に食い止める働きをする。
総工事費は約380億円で、平成25年3月の完成を目指す。同社は「長期的に運行がストップしないための対策が必要」とも話す。東海地震はM8クラスと想定されるが、新幹線への被害が最小に食い止められれば、より効果的な災害対応が可能になると思われ、成果が期待される。