昨年度43人、厳しい勤務も一因
県立の4病院を退職する看護師が増えていることが26日の県議会決算特別委員会で明らかになった。2008年度に自己都合で退職したのは43人で、このうち、21~30歳は6割超の27人に達した。県病院局総務課は「少なくない数字」との見解を示し、厳しい勤務環境も原因の一つとして、改善策を練っている。
県立病院は、心臓血管センター(前橋市)、がんセンター(太田市)、精神医療センター(伊勢崎市)、小児医療センター(渋川市)の4施設。
同課によると、4病院の看護師の自己都合による退職者は06年度以降、27人、32人と、年々増えている。中でも、心臓血管、小児医療の2病院の割合が高く、07年度に全体の8割、08年度に7割を占めている。
背景について同課は「2病院は容体が急変しやすい患者を担当し、常に緊張感を強いられることもある」と指摘する。また、ほかの自治体病院が看護師1人あたりの担当患者を7人としているのに対し、心臓血管センターは10人で、負担も大きいという。
26日の委員会で、小出省司・病院管理者は「県立4病院は専門病院の色合いが強く、希望する配置がなかなかかなわない」とし、「看護師の異動希望に早くから耳を傾ける必要がある」との対策を示した。
同課の担当者は「退職者分は人員補充し、特に不足は生じていない。看護師を確保する努力を続けたい」としている。
□県立4病院医療事故20件増
県病院局は26日、県立4病院(心臓血管、がん、精神医療、小児医療の各センター)で昨年度に起きた医療事故や、事故につながる恐れのあった「ヒヤリ・ハット事例」が、前年度より297件多い3853件に上ったと発表した。
このうち、医療事故は、同20件多い764件に上り、重い処置・治療を要した事例が27件、軽微な処置や治療で済んだ事例が89件あった。軽度の後遺障害が残った例も1件あった。県病院局は事故やミスが増加した要因について、年々医療の高度化・専門化が進む中で、新しい処置・治療法など、ミスが発生しやすい場面が増えていることなどを指摘している。
事故の中には、上腕の血管につながれていたカテーテルが外れて心臓まで達した例や、誤った薬を使って血圧低下を招いた例、入院患者が夜間に転倒して硬膜下血腫を起こした例などがあった。
(2009年10月27日 読売新聞)