足の大腿(だいたい)部を骨折して鳥取県倉吉市内の病院に入院していた同市内に住む107歳のお年寄りが、懸命なリハビリと病院、家族の支えによって再び歩けるようになり、無事退院した。高齢になると受傷前のように一人で歩ける状態に戻るのはなかなか難しく、関係者は目を見張る回復ぶりにエールを送っている。
このお年寄りは同市上福田の杉本暉子さんで同市の最高齢者。6月末に自宅で転倒し、右大腿骨転子部骨折で清水病院(同市宮川町)に入院。折れた部分に金属のプレートとスクリューを入れて固定する骨折合術という手術を行った。
杉本さんは5年前の102歳の時も反対側の足を骨折している。100歳を超えて2度の骨折はなかなか完治しにくく寝たきりになるケースも多いが、杉本さんは元来、自立心が強く、今も自分の身の回りのことは自分でやる気丈な性格。これがリハビリにも好影響を及ぼし、107歳という高齢にもかかわらず、自分の力で歩けるようになった。
病院側も医師、理学療法士、作業療法士、看護師らが連携して、手術後すぐ筋力トレーニングをはじめ、痴呆予防となる知的賦活(ふかつ)のリハビリ、歩行訓練をトータルで行い、術後のケアを徹底した。
理学療法士の三谷管雄リハビリテーション課長は「本人の意欲を引き出すケアをスタッフ全員でやり、うまくいった結果」と杉本さんの回復を喜ぶ。
入院中はすっかり病院の“アイドル的”存在だった杉本さん。「皆さんのおかげで元気になりました」と話し、「リハビリが楽しくてまるで女学生に戻ったようでした」と笑顔で喜んでいた。
米寿の年から始めたという趣味の木目込み人形は、100歳の時に100個を越え、退院後はデイサービスに通いながら人形作りを続けるという。