初外遊するアメリカのピッツバーグで大リーグ始球式を予定している鳩山由紀夫首相(62)が21日、首相官邸で元パイレーツ投手の桑田真澄氏(41)を招いて“キャッチボール特訓”をした。桑田氏から贈られたユニホームと帽子を着用して24球を投げ、「ボールの回転がいい」と絶賛された。鳩山氏も上機嫌で「直球勝負。届く球を投げる」と話した。この日夜、羽田空港発の政府専用機でニューヨークへ向け出発した。
官邸から鳩山氏がニコニコしながら出てきた。官邸の南庭に初めて入る。パイレーツのユニホームの上着を早速着て、右肩をぐるりと回した。ピッツバーグで予定されている始球式は、25日のパイレーツ対ドジャース戦が有力。渡米前からやる気満々だ。
「最初は短い距離からね」と切り出した鳩山氏は約10メートルの距離から1球。後ずさりしながら桑田氏からのボールをキャッチして約15メートルからさらに1球。真上から投げるきれいなオーバースローだ。3球目以降は、マウンドからホームベースまでの距離(18・44メートル)ぐらい離れ、22球を投じた。計24球、顔は真剣そのものだった。
途中、桑田氏が「すごいね。いい球を投げる」と驚いた様子で話した。ハイピッチで直球を投げ込む鳩山氏に、最後は桑田氏が「肩は大丈夫ですか」と気遣ってストップをかけなければ、まだまだ投げそうな勢いだった。
終了直後、キャッチボールした日本のプロ野球の球と、桑田氏から贈られた大リーグ使用球を差し出された鳩山氏は「日本の方がしっとりしていていい」と熱心に触り比べた。
鳩山氏 世界の桑田さんとキャッチボールできてありがたい。首相になるといいこともあるなと思った。(始球式では)変化球なんか投げられないから、直球勝負。受け取ってもらえるように届く球を投げたい。
桑田氏によると数日前、官邸に来てくださいと要請された。かつて所属していたパイレーツの本拠地ピッツバーグで2年暮らしていたことで呼ばれたと思ったという。懇談だけだと想定していたら、いきなりキャッチボールという展開になった。
桑田氏 分かっていたら自分のグローブを持ってきた。首相は投げ方もいいけど球の回転が素晴らしい。暴投もなかった。僕は2球あったのに。大リーグ使用球はすべるから気をつけないと、と話してました。米国の始球式はマウンドの前から投げるけど、首相はマウンドからいけますよ。
桑田氏へ、ユニホームと交換に「友愛直球」と書いた色紙を差し出した鳩山氏は終始ご機嫌だった。
鳩山氏は夜、ニューヨークに向けて出発。現地では国連総会、第3回金融サミットに出席し、オバマ米大統領ら各国首脳との会談も予定されている。始球式とともに、外交デビュー戦でも「友愛直球」が通用するか、注目される。