新係数の調査概要を大筋で了承―中医協小委

7月15日23時13分配信 医療介護CBニュース

 中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬基本問題小委員会(委員長=遠藤久夫・学習院大教授)は7月15日、現在の調整係数に代わる新たな機能評価係数に関する特別調査の概要を大筋で了承した。また、前回の小委で積み残しとなっていた「慢性期入院医療の包括評価調査分科会」の今後の進め方について、高木安雄分科会長代理(慶大大学院教授)が分科会での議論の結果を報告し、こちらも了承された。厚生労働省では7月の最終週に、すべてのDPC対象病院と準備病院を対象に特別調査を実施する予定だ。

■「出来高病院の調査も必要では」―西澤委員が提案

 特別調査をめぐっては、新係数の在り方を検討しているDPC評価分科会(分科会長=西岡清・横浜市立みなと赤十字病院長)が、▽複数診療科での24時間対応体制▽診療ガイドラインの明示と患者への治療方針の説明▽診療ガイドラインから逸れた診療を行う際に、十分な検討を行う委員会などの設置▽特定データ(医療の質の評価などにつながる項目)の公表―など7項目について、次期改定での導入に向けた調査を実施すべきとしている。
 調査期間は月内の1週間で、同分科会の研究班が項目の絞り込みを行っている「特定データの公表」を除き、▽救急医療の診療体制▽診療ガイドラインを考慮した診療体制の確保▽クリニカルパス(院内)を用いた診療▽医師、歯科医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、社会福祉士などの人員配置(チーム医療)―の4項目について調べる。これらの項目については、急性期入院医療全体として評価を検討すべきとされ、分科会と小委で並行して議論することになっていたため、この日の審議となった。

 西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)は、「急性期入院医療全体として評価するのであれば、出来高病院での調査は必要ないのか」と問題提起。
 また、藤原淳委員(日本医師会常任理事)は、救急医療の全体像を把握するため、国や都道府県の補助金についても調査すべきと主張し、坂本すが専門委員(日本看護協会副会長)は、救急患者のトリアージ(緊急度による対応順序決定)の体制についても、調査項目に加えるべきだと指摘した。

 藤原委員と坂本専門委員が指摘した項目については、調査実施までの時間が少ないため、遠藤委員長、西岡分科会長、厚労省が協議して、最終的な内容を詰めることで合意。また、西澤委員の提案については、今後も継続して議論することとなった。

■医療区分とADL区分の分類の基準も検討

 一方、高木分科会長代理が提出した資料では、短期的には次期改定に向けた検討を行うとし、▽患者分類の妥当性▽各医療期間における分類の適切性▽褥瘡や転倒の発生率など、医療サービスの質―の3点を既存のデータを基に検証。
 中・長期では、「医療療養病床と機能が近接している病床等を含め、慢性期医療に係る調査・分析を行う」とし、慢性期医療の定義については、現時点では「一般病床の一部から介護保険施設の一部まで」を想定。当面は一般病床に関連した部分を検討し、その結果を踏まえ、あらためて定義を考える。検討結果は小委に報告し、その議論を踏まえながら調査、分析を進めるとしている。
 資料説明の中で、高木分科会長代理は「介護保険施設を所管する老健局との連携が不可欠な領域もあるので、具体的な実施方法などについては、中医協に相談しながら進めていくことになると考えている」と述べた。

 遠藤委員長は、「介護保険施設の一部までとは、現状のイメージではどの範囲か」「なぜ、慢性期医療の定義をあらためて検討するのか」と質問。
 これに対して高木分科会長代理は、「介護保険施設の一部まで」について、「介護療養の病床と転換老健を想定している」と回答。また、定義を検討する理由については、「(医療療養病棟の診療報酬の区分に当たる)医療区分とADL区分という慢性期の入院医療を考えるアプローチを、分類の妥当性を含め、より広く使いたい」と述べ、分類の基準についても幅広く検討する考えを示した。

 西澤委員は、「分科会単独か、老健局合意の下での別組織かは分からないが、やはり介護保険施設の方まで踏み込んでほしい」と要望。「介護保険施設の一部まで」については、「今後のために重要なので、ぜひ老健、あるいは特養までを含めた調査も考慮していただきたい」と求めた。

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