7月3日23時0分配信 カナロコ
中高年を中心に増えつつある女性登山者の事故に備えようと、丹沢を抱える秦野市は登山経験のある女性職員による「捜索班」の結成を計画している。同市では男性職員による「市職員登山者遭難捜索隊」を今春結成しており、女性職員の捜索班を隊に編入する方針。市によると、自治体で女性だけの捜索班が結成されれば全国初という。市の担当者は「女性の場合、心身両面から女性に救助してもらえればより安心してもらえるのでは」としている。
長年、丹沢の登山者を見守り続けている秦野署や秦野市丹沢遭難対策協議会は女性の登山者は年々増えているとみている。両団体は6月27日に表丹沢の入り口の大倉バス停で登山者カードの記入キャンペーンを実施。約1時間半で426人が応じ、うち女性は90人だった。同協議会担当者は「(入山がより容易な)ヤビツ峠からの入山もあり、実際は女性の比率はもっと高いのでは」と話す。
同署によると、2008年に同署管内の丹沢で起きた遭難事故は20件(07年は23件)。うち女性の事故は6件(同7件)。年齢的には40歳代から60歳代で、転倒してのけががほとんどで、事故の場所も通常の登山コースという。
丹沢の遭難事故の場合、同署の「山岳遭難救助隊」、市消防本部の「山岳救助隊」と民間の「登山者遭難救助隊」が今春までは救助に当たってきた。民間の救助隊員の高齢化が進んでおり、今年4月に市職員による「捜索隊」が助っ人として結成された。
女性の登山者が増えつつある現状に同市では、職員の中にも登山経験が豊富な女性がいることに着目。発足したばかりの「市職員登山者遭難捜索隊」に女性班を編入したいとしている。
すでに数人の女性職員が参加を申し出ており、5人ほどにまとまった段階で結成したいとしている。秦野署は「春先から夏場に掛けては女性グループの登山者は多い。万一、人工呼吸が必要なケースを考えると、女性がいれば対応しやすい」と話している。