<中高年登山>サプリやアミノ酸入りジュース、安全登山に有効

6月12日10時43分配信 毎日新聞

 夏山開きが全国で始まり、登山シーズンの到来を告げている。健康づくりなどで人気の高い登山だが、一方で中高齢者の転倒、遭難事故数は年々増加し、昨年は過去最高を記録した。先月末に日本登山医学会で報告された、特に中高齢者に知ってほしい安全な登山のための効果的な栄養補給など最新の研究成果を紹介したい。【関東晋慈】

 ◇バランス改善にアミノ酸 ポリフェノールで疲労回復

 警察庁のまとめによると、昨年夏の登山シーズン(7、8月)に起きた山岳遭難事故は453件、死傷者などは計525人に上る。うち40歳以上の中高齢者が約8割に上り、死者・行方不明者は79人中76人を占めた。

 山本正嘉・鹿屋体育大教授(運動生理学)は、たんぱく質などを合成する化合物、アミノ酸が登山能力の向上を示す研究成果を発表した。

 食品化学会社「味の素」などと共同で、登山を模擬したビルの上り下り実験をした。20代の男性8人を、アミノ酸(体重1キロ当たり0・12グラム)入りと入っていないジュースを飲むグループに分け、1200メートル級の登山に相当する上り下りをしながら3杯ずつ飲んでもらった。

 実験前後に目を閉じて片脚立ちするバランス能力を調べたところ、アミノ酸入りジュースを飲んだグループは、実験前と比べ実験後の時間が11%伸びたのに対し、別のグループは29%短くなった。

 山本教授は「中高齢者の転倒事故は下り坂でバランスを崩す例が多い。登山前と途中、登山後に分けて十分な量のアミノ酸をとってほしい」と話す。

 また、杏林大の大野秀樹教授(健康科学)らの研究グループは、抗酸化作用を持つ植物成分「ポリフェノール」の一種が疲労回復に効果があることを明らかにした。

 空気を吸うと、酸素の一部が強い酸性になる活性酸素が発生するが、多くは体内で分解される。しかし激しい運動で大量の酸素を体内に取り込むと、分解されない活性酸素が強い酸で細胞を傷つけ、機能を低下させる。そこで注目されたのが、活性酸素の除去に役立つ「抗酸化物質」だ。

 アミノアップ化学(札幌市)は、ライチ果実から抽出したポリフェノールを分解し、体内への吸収力を高めるサプリメント「オリゴノール」を開発した。

 大学陸上部選手計47人(男25人、女22人)で52日間実験し、アンケート調査した結果、オリゴノール服用期間だけ高い疲労回復効果を得た。尿検査でも、分解されない活性酸素を示す数値が服用期間中は低下し、中止すると上昇する傾向が見られたという。

 大野教授は「中高年登山は加齢と高所に、活性酸素が加わればイエローカードの色は濃くなる。抗酸化物質の吸収効率の高いサプリメントの服用を勧めたい」と話す。

 転倒事故は、下り坂でつまずいたり、バランスを崩して起きることが多い。脚がガクガクするのは、筋細胞が壊れることによって起きる症状だ。山本教授は「登山をする中高齢者は体力に自信がある人が多いが、若いころに比べて脚力が弱っていることの自覚が必要だ。まずは自分の体力を知り、レベルに応じた山を選ぶことが大切」と呼びかけている。

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