イノシシが尾鷲市街地に 新聞配達員襲われ骨折

6月6日11時47分配信 中日新聞

 尾鷲市九鬼町で3日未明、新聞配達中の田崎真優さん(69)が、背後からイノシシに突進されて転倒し、左手首を骨折するけがを負った。市によると、野生動物による人的被害は市内では聞いたことがないという。
 事故現場は住宅密集地にある幅1メートルほどの石段。午前3時50分ごろ、田崎さんが石段を上り始めたとき、体高40センチほどのイノシシが後ろから左足にぶつかり、田崎さんは転倒。イノシシは石段を駆け上がり、山へ逃げていったという。
 「米俵くらいの大きさだった」と目を丸める田崎さん。「35年間新聞を配っているが初めて。今後は手首に鈴を付けて配ります」と話した。
 地元の無職男性(70)は「毎日、イノシシやサル、シカを見かける。誰かがけがをするのは時間の問題だと思っていた」と漏らした。
 市は6日、地元の猟友会員と協力し、町内5カ所にワイヤを用いた「くくりわな」を仕掛けて対応する。市によると、野生動物が農作物を食べ荒らすなどの被害通報は市内で月に20件ほど入るという。市はこれまで、駆除に奨励金を出したり、空砲で威嚇して山奥へ追い込むなどの対策を講じてきた。
 市職員は「人間がどこまで手を加えて駆除すべきかという線引きが難しい」と頭を抱えている。
 (福田大展)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA