足指の筋力鍛えよう!! 3番目の関節動かす/外反拇趾予防に

6月2日8時1分配信 産経新聞

 足指の付け根の関節が動かない人が、外反拇趾(ぼし)の人に多いという。足指は小さくても立ったり歩いたりするのに重要な役割を持つ。曲げる力が落ちると、高齢者では歩行時などにバランスをとるのが難しくなる。転倒から寝たきりにつながる恐れもあり、専門家は足指の運動をすすめる。(寺田理恵)

 ◆足裏でペタペタ歩く

 足の親指が曲がる外反拇趾。北京五輪女子マラソンで途中棄権した土佐礼子さんが悩んでいたように、運動選手でも起こりうる。外反拇趾の原因は先の細いハイヒールともいわれるが、男性でなる人もいる。

 「足指を使わない生活が原因の生活習慣障害」と指摘するのは、外反母趾研究所(東京都板橋区)の古屋達司代表。「立ったり歩いたりするときに足指に体重を乗せることで、足指がしっかり地面に着いて体を支える。ところが、外反拇趾の人は体重を乗せていない。足指に力が入らずに足指が浮き、足裏でペタペタ歩く人も多い」とする。

 古屋さんによると、外反母趾の人の7割が指先から3番目の関節(親指は2番目)を動かさず、足指に力を入れて歩かない。そのため、足の筋肉が弱っている。この関節の存在を知らない人もいるという。

 古屋さんは「生活習慣を改善するには、まず3番目の関節を動かす。そして、立ったり歩いたりするとき、足指に体重を乗せる。一般に知られる足指のグーパー運動やタオルをつかむ運動も、この関節を動かさずに行うと効果は上がらない」と助言する。

 おすすめは、足指でボールやチューブをつかむトレーニングなど。付け根にある3番目の関節から曲げて握るのがポイントだ。

 ◆動く範囲狭い高齢者

 足指のトレーニングは、高齢者の転倒予防にも役立つ。新潟医療福祉大の小林量作教授は、高齢者向けに考案した「転倒予防10種運動」にプラスし、足指の筋力をつける運動も提案している。2人一組で向かい合い、足指で握ったロープを引っ張り合う綱引きだ。

 「高齢者には足指の動く範囲が狭い人が多い。足を上にそらさなければ、引っかけて転ぶ可能性がある。歩行時は瞬間的に片足で支えるため、足指の力が弱いとバランスをとるのが難しくなる」と指摘する。

 足指が地面をつかむ力に着目する西九州大の村田伸教授は、「足指には手の指と同様の関節があり、曲げると足全体が曲がる。手の握力と同じイメージ」と説明。その上で、「足指を動かす筋肉は立ったり歩いたりするときにバランスをとる基礎的な要素。普段あまり使わないので、動かすトレーニングをすれば使いやすくなる」と足指の運動をすすめる。

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 【転倒予防】

 高齢者が転んで骨折すると、寝込んだまま寝たきりになる場合がある。一度転ぶと、また転倒するのではないかとの不安から活動量が減り、不活発な生活が身体機能の低下につながるリスクもある。平成19年の国民生活基礎調査によると、介護が必要となった主な原因は(1)脳血管疾患(2)認知症(3)高齢による衰弱(4)関節疾患(5)骨折・転倒。介護保険では、介護予防の運動器機能向上プログラムの中で、転倒予防の取り組みが行われている。

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