11月17日10時5分配信 日刊スポーツ
<フィギュアスケート・GPシリーズ第4戦:フランス杯>◇2日目◇15日◇パリ
【パリ15日=高田文太】浅田真央(18=中京大中京高)の今季初戦は、シニア転向後、自己ワーストとなる総合167・59点で2位に終わった。ショートプログラム(SP)2位で臨んだフリーでジャンプのミスが相次ぎ、優勝したロシェット(カナダ)と13・14点差となる109・47点の2位。次戦のNHK杯(27日開幕、東京・代々木第1体育館)に向けて、当初の帰国予定を変更してロシアに渡り、タラソワ・コーチのもとで緊急合宿に入ることになった。
「世界女王」の看板が、重圧となっているのか。浅田は3回転半-2回転の連続ジャンプの予定だった冒頭、後半の2回転をミスを恐れて回避した。次も予定より1回転少ない2回転ループ。後半に入ってもジャンプでミスを連発し、3回転サルコーの予定だったジャンプは、2回転も少なかった上に転倒した。全7つのうち4つのジャンプが予定より回転数が少なかった。演技構成の基礎点は、下位グループと同等の49・69点まで落ちた。スピンやステップで盛り返しても、自己ワースト得点となることは必然だった。
演技後は必死に涙をこらえながら「100%には程遠い出来だった」と、唇をかんだ。前日のSPでもジャンプにミスが相次ぎ「フリーではもっと強気でいきたい」と話していたが、修正できなかった。SP、フリーで、少なくとも一方は納得の演技を続けてきた浅田にとってはショックな結果。「今大会の収穫は、ジャンプへの課題を強く感じることができたこと」と話すのが精いっぱいだった。
うなだれる浅田に、タラソワ・コーチは「今から練習しましょう」と声をかけた。日本への帰国を延期して次戦NHK杯まで約1週間、ロシアで緊急合宿に入る。ジャンプの強化と迷いや重圧を忘れさせることが狙いだ。同コーチは「真央の初戦が良くないのは毎年のこと。問題ないし、順調すぎたら(記事として)書くこともなくなるでしょ」と、復調を信じていた。
唯一の救いは、今季から採点上の基礎点が上がった3回転半に好感触を得たこと。「100%ではなかったけど、やりきることはできた。(3回転半は)自分の大きな武器になる」。次戦を安全策で乗り切っても、12月のGPファイナル進出の可能性は十分だが「毎年新たな挑戦をするのが自分」。次戦のNHK杯では、今回は回避した国際大会初のフリーで2度の3回転半に挑むつもりだ。