建設業の「新分野進出」、新たな支援事業に転換~「地域総合産業化」への取り組みを応援

 地域の中小・中堅建設企業の経営改善を促進する国土交通省の「新分野進出モデル構築支援事業」が今年で6年目を迎えた。2003年度のスタート以来、累計で約400の新事業を発掘、支援した。順調に事業を拡大している企業がある一方、中には継続を断念せざるを得なくなったケースもある。国土交通省は今後、モデル事業を通じて明らかになった課題などを踏まえ、新たな支援事業を導入したい考えだ。「地域総合産業」への脱皮を目指す地域建設業の支援策などについて、国土交通省総合政策局建設市場整備課の岡哲生建設産業振興室長に聞いた。
(聞き手は編集局=小林英明)
 これまでに支援したモデル事業の約3割が新製品・新工法の開発・販売、3割弱が環境リサイクルの分野。次いで、リフォームなどを含むサービス業、農林水産業関連などとなっている。
 モデル事業の選定企業からは、「企業イメージが向上した」「売り上げや利益を計上できるようになった」「雇用を維持・拡大した」などといった報告を受けている。また、市町村や地域住民、NPOなどと連携した事例もあり、地域貢献や地域活性化の観点からも波及効果があったと言える。
 
~「販路開拓」が課題~
 一方で課題も見えてきた。われわれは、新分野の事業を現在も継続している企業と、事業を断念した企業からそれぞれ問題点を聞いた。事業を継続している企業で一番多い問題点は「販路と顧客の開拓」で、全体の6割を占めた。次いで、新事業に取り組むための「人材の確保・育成」「資金調達」「外部との連携」などとなっている。
 事業を断念した企業も大きな課題は同じく「販路」だった。このほか、「ニーズの把握」「人材などの実施体制」「資金繰り」と答えた企業もあった。継続している企業も断念した企業も、抱えている問題は共通すると分かった。

~新事業に必要な「連携」
 新事業の実施体制を見ると、8割の企業が大なり小なり、何らかの形でほかの事業者と連携している。誰の力も借りず、単独で新事業に取り組んでいる企業は2割にすぎない。連携先は「異業種の企業」が半数以上、「同業者」が4割弱。大学などの研究機関、地方公共団体、地域コミュニティー、公的研究機関などもあった。
 連携の成果について聞いたところ、5割弱の事業者が「製品の開発力や販売力が向上した」と答えた。新事業をスタートさせ、さらに発展させていく上で、知識や経験不足を補うための連携は重要だと言える。

~異業種との取り組みに助成~
 2009年度は、従来のモデル事業にいったん区切りを付け、新分野関係で二つの新たな事業に取り組みたいと思っている。いずれも、09年度予算概算要求の項目に盛り込んだ。
 まず、異業種と連携して行う新事業を支援する「建設業地域総合産業化支援事業」。地域経済や雇用に高い波及効果が期待される取り組みをバックアップするのが狙い。
 モデル事業を通じて、「誰と組んだら良いのか分からない」という事業者が多いことも分かった。そこで、「建設業と異分野とのコラボレーション促進支援事業」と銘打って、取り組み相手をマッチングさせようという施策も立案した。
 進出する新分野と、地域が抱える問題などがリンクすれば、地域の応援を得られやすい。これによって、円滑に事業を展開できると考えられる。新事業への取り組みが、一企業だけではなく、雇用や経済などの面で地域全体の活性化に波及していくことが重要だ。新たな事業を通じて、建設企業が引き続き、地域再生の一翼を担うことができればいいと思う。

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簡単そうに書いていますけど、こういう申請はかなり難しいので、なかなか手が出せないですね。

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