◆エンゼルス5x―1マリナーズ=延長10回=(29日・アナハイム) エンゼルス・松井秀喜外野手(35)が、ヒーローの悲劇にショックを受けた。本拠でのマリナーズ戦に「6番・DH」で先発出場し、3打数1安打1四球。エ軍は延長10回にサヨナラ満塁本塁打で勝利を収めたが、殊勲のモラレス内野手(26)が本塁上の歓喜のジャンプで転倒し、左足下たい部を骨折。全治不明の重傷を負った。
10回1死満塁で、5番・モラレスが中越えに自身初のサヨナラ満塁弾。本塁で迎える仲間の輪に、スキップして跳び上がった。だが空中で体をもまれ、着地に失敗。左足首がおかしな方向に折れ曲がり、約10分間、もん絶したまま起き上がれない。ヒーローインタビューを受けるはずが、複雑な拍手を浴びて担架で運ばれた。
グラウンドで見守るナインの中に、松井の姿はなかった。9回の四球の後に代走を送られ、ベンチ裏で着替えていたところ、テレビモニターで目撃した。「何ともいえないです。すぐ分かりましたよ。どっか痛めたんじゃないかと」。文字通りの“サヨナラ男”になってしまった悪夢の瞬間を「これまで自分がいた場所(チーム)では、ないと思います」と沈痛な表情で振り返った。
今季、モラレスは打率2割9分、11本塁打、39打点といずれもチームトップ。エ軍で唯一、開幕から51試合連続で先発出場する両打ちのスラッガーだ。30日に手術を受け、15日間の故障者リストに入る予定だが、全治不明。長期離脱となれば大きすぎる痛手だ。ソーシア監督は「祝福の仕方を変えるしかないだろう」と落胆を隠せなかった。
初回には4番・ハンターが左手に死球を受け途中交代。エ軍にとっては劇勝も吹っ飛ぶ厄日となった。中前安打のほか2つの中飛も「良かったんじゃないですか」と好感触の松井には30日以降、4番復帰の期待もかかる。「どういう状況でも、自分に与えられたことをやるだけですよ」。ゴジラがチームの危機に奮い立つ。