スキー場でスノーボードでジャンプした際、着地点にいた女児(当時9)に衝突して重傷を負わせたとして、重過失傷害罪に問われた会社員の男性(24)=香川県観音寺市=に対する判決が12日、松山地裁であった。村越一浩裁判長は「滑走開始時点における一応の注意義務は果たしており、重過失は認められない」などとして無罪(求刑禁固10カ月)を言い渡した。
判決によると、男性は2006年2月、愛媛県久万高原町の美川スキー場に設置されたジャンプ台(幅2.5メートル、高さ0.7メートル)で宙返りジャンプをした際、着地点付近で倒れていた女児に衝突。女児は四肢に運動障害が残る脊椎(せきつい)損傷の重傷を負った。
判決は、男性にジャンプ台下方に人がいないか注意を払う義務があったと認めたうえで、男性の前にいたスノーボーダーらがあまり間隔をあけずに次々にジャンプし、男性の直前に飛んだスノーボーダーが着地後にジャンプを止めるような合図を出していないことを男性は確認しており、「男性がジャンプをしても問題ないと判断しても無理からぬ面もある」と指摘した。
さらに、事故が起きたのは、前のスノーボーダーのジャンプ後に、女児が転倒してジャンプ台の下で止まったという「予測外の事態」の発生が原因とした。
松山地検は「意外な判決結果であり、判決内容を検討した上で、適切に対処したい」とコメントを出した。(伊藤喜之、田中誠士)