介護施設事故死 4年で48人

「誤嚥」が75% 職員研修強化へ
 県内の介護保険施設・事業所で2005~08年度の4年間に、事故で計48人が死亡していたことが、県の調査でわかった。食べ物が気管に入って詰まる「誤嚥(ごえん)」による死亡が目立つことから、県や業界団体は、事故防止に向けた職員研修に力を入れる方針だ。

 県高齢福祉保険課によると、死因別では、食べ物がうまくのみ込めずに気管に入り込み、窒息状態になる「誤嚥」が36人で75%を占めた。そのほか、入浴時に浴槽でおぼれた事故が2人、感染症、転倒、交通事故でそれぞれ1人、自殺や施設からの転落など「その他」が7人だった。

 施設・事業所の種類別では、グループホームが14人と最も多く、続いて特別養護老人ホーム9人、通所介護事業所8人、老人保健施設6人などとなっている。年度別では、05、06年度が各12人、07年度が14人、08年度が10人だった。

 各施設・事業所は、誤嚥が起きた際、食べ物を吐き出させたり、吸引したりする応急処置を職員に指導している。だが、県内の施設関係者によると、対応が間に合わないケースや、そもそも体が弱っている高齢者も多いため、死亡につながりやすいといった事情がある。

 県老人福祉協会の中山辰巳会長は、「要介護高齢者は一般に、のみ込む力が弱くなっているため誤嚥の確率が高く、完全に防ぐことは難しい。施設・事業所ごとに緊急時の対応力を高めるしかない」と強調する。同協会は04年度から年1回、誤嚥への対応などについて研修を実施。今年も9月に開催する予定だ。

 また、県認知症グループホーム協会も今年度、誤嚥事故防止の研修を検討している。県も引き続き、事故防止の徹底を施設や事業所に呼びかけていく方針だ。

 要介護高齢者の食の問題に詳しい社会福祉法人「宏仁会」(平内町)の長根祐子理事長は、「口の中のケアや首の運動など、高齢者がのみ込む力を維持するための取り組みを、施設・事業所の活動の中に取り入れることも必要だ」と指摘している。

(2010年5月11日 読売新聞)

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