氷河期乗り越え入社・入庁式 トヨタや日航 「再出発」誓う春

 全国の企業、官公庁で1日、一斉に入社・入庁式が開かれた。大学生の就職内定率が過去最低の80%にとどまるなど極めて厳しい“採用氷河期”をくぐり抜けた新入社員たち約76万人の晴れやかな顔がそろった。だが、日本経済の立ち直りのペースは遅く、大規模リコール問題に揺れるトヨタ自動車や経営再建の重荷を背負った日本航空などでは、強い逆風の中での船出となった。

 ■トヨタ

 大規模リコール(無料の回収・修理)問題に見舞われたトヨタの入社式は、愛知県豊田市の本社で開かれ、1250人の新入社員が辞令を手にした。昨年6月に就任後初の入社式となる豊田章男社長は「お客さまの信頼回復に向け再出発したばかり。自分がトヨタを立て直すくらいの強い気持ちを持ってほしい」と述べ、信頼回復に一致団結して取り組むよう呼び掛けた。

 豊田社長は「お客さまにご迷惑をかけ、世間を騒がせた。ビジネスが急拡大する中でお客さまの声を聞く姿勢がおろそかになっていたのでは、と謙虚に反省しないとならない」とリコール問題を説明。「トヨタはレースの先頭集団にいたが、つまずき大転倒した。今まで以上にお客さまに支持される、新しいトヨタに生まれ変わらないといけない」と述べ、「再出発一期生」たちに奮闘を求めた。

 新入社員を代表して中山秀樹さん(18)と山田早紀さん(18)の2人が「トヨタの将来を担うべく努力する」と誓いの言葉を述べた。新入社員代表で豊田社長から辞令を受けた石原智子さん(23)は、リコール問題について「とても不安になったが、早く一人前になって貢献できるようになりたいと思った」と話していた。

 新入社員数は昨年からほぼ半減。これまで同市のトヨタスポーツセンターで開催するのが通例だったが、トヨタ自動車工業とトヨタ自動車販売が合併した1982年度以降で初めて本社の事務本館ホールを会場にした。

 ■日航

 日航は羽田空港内で入社式を開いた。破綻(はたん)後、最初の新入社員は566人。出席した約550人は緊張した面持ちで式に臨んだ。逆風下での式で稲盛和夫会長は「このような状況下で入社を決意いただいたことを心強く思っている」「再び世界を代表する航空会社として復活を遂げるよう取り組んでいく。ついてきていただきたい」と呼び掛けた。

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