八戸市立市民病院は25日、同病院に配備されて運航1年となった青森県のドクターヘリの運航状況を公表した。
運航を始めた昨年3月25日から今月24日までに229回出動し、221人の患者に対応した。ドクターヘリが出動しなければ死亡した可能性が高い「劇的救命」も、16人に上った。
青森県ドクターヘリ運航調整委員会で報告された。それによると、各地の消防本部からの出動要請は計253回。悪天候などを除き、実際の出動は229回に上った。市町村別では、八戸市が59回と最も多く、十和田市20回、三戸町16回と続いた。三八、上十三など県南部地域が多いのに対し、津軽地域は少なかった。
搬送や治療した患者計221人の内訳は、交通事故や転倒・転落などによる外傷が111人、病気が110人だった。このうち16人は交通事故やハチに刺されるなどして、ヘリが出動しなければ命が危ぶまれる「劇的救命」にあたるケースだった。また、出動したケースの6割は、要請から18分以内で患者に接触することができた。
同病院の今明秀・救命救急センター所長は「16人の死亡を回避できた。合格点を付けたい」と強調。今後の課題として、冬場は視界不良で八甲田山系を越えることができないことなどを挙げた。
これに対し委員会では、ドクターヘリを2機に増やし、同病院と県立中央病院の2か所に配備するなどの要望が上がった。
(2010年3月26日 読売新聞)