香川大生が牛丼店強盗

高松北署は8日、牛丼店に押し入り、18万5000円を奪ったなどとして、高松市西町、香川大教育学部3年、阿部裕太容疑者(22)を強盗、公務執行妨害などの容疑で逮捕した。

 発表によると、阿部容疑者は同日午前5時35分頃、同市木太町の牛丼店「吉野屋高松中央インター店」の従業員入り口から押し入り、店員に包丁を突きつけて「金を出せ」などと脅し、レジから18万5000円を奪って逃走した疑い。客はおらず、店員にけがはなかった。

 阿部容疑者は約5分後、店の約50メートル南で県警の捜査員に発見され、職務質問を受けた際にもみ合いになり、捜査員が転倒したすきに逃げたが、包丁や診察券などが入ったバックを落とした。捜査員は軽いけが。同署は診察券から阿部容疑者を割り出し、事情を聞いたところ、犯行を認めた。調べに対し「金が欲しかった」などと供述しているという。

 同署によると、阿部容疑者は、同市内にある同牛丼チェーンの別店舗でアルバイトをしていたといい、高松中央インター店でも数回、働いたことがあったという。

在籍している学生が強盗などの容疑で逮捕されたことを受け、香川大の細川滋・副学長(教育担当)、有馬道久・教育学部長らが同日午後、学内で急きょ記者会見を開いた。細川副学長は「教員を目指す者が事件を起こし遺憾。モラル教育を徹底する」と謝罪した。

 大学の説明によると、阿部容疑者は、教員養成課程を履修し、昨年秋には県内の小学校で5週間の教育実習を終えていた。単位取得で目立った問題はなく、所属するゼミでの人間関係も良好だったという。

 同大学では2007年に、当時教育学部4年生の男子学生が強姦(ごうかん)致傷容疑などで逮捕されており、事件後、学生に対しては入学時と、その後はゼミでもモラル意識の徹底を呼びかけてきたという。それだけに幹部らは苦渋の表情を浮かべ、新たな再発防止策を問われた有馬学部長は「検討する」と述べるにとどまった。

 同大学は9日、理事や同学部長らによる会議を開き、再発防止策を検討するほか、近く全学生に事件の概要を文書で伝える。細川副学長は「社会や保護者の信頼を裏切って申し訳ない。(阿部容疑者には)厳正な処分を検討する」と話した。

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 香川大によると、過去10年間に、大学が内部基準に基づいて懲戒処分にした学生(大学院生を含む)は45人で、うち退学処分にしたのは4人、停学処分にしたのは34人という。

(2010年3月9日 読売新聞)

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