交通乱れ県内混乱 事故相次ぐ

◆強い寒気で積雪 金沢33センチ・珠洲45センチ◆

 前日に続いて強い寒気に覆われた14日、県内でも各地で大荒れの天気となった。積雪は金沢で33センチ、珠洲で45センチ、七尾で32センチを記録(同日午後5時現在)。気温も各地で今冬の最低気温を記録し、金沢で零下1・8度、珠洲と七尾で同2・2度となった。この天気で交通機関は大幅に乱れ、車のスリップや除雪作業中の事故によるけが人も相次いだ。15、16日も県内は冷え込み、雪が降ったりやんだりの状態が続くと予想されている。

 JR西日本金沢支社によると、新潟方面と北陸を結ぶ「はくたか」「北越」などの特急列車28本、普通列車33本の計61本が全線または一部区間運休となった。他にも金沢駅発着の特急列車16本、普通列車30本に最大で4時間以上の遅れが出て、約1万5千人に影響が出た。

 北陸鉄道によると、14日朝の通勤時間帯のほぼすべての路線バスに最大約1時間の遅れ。また、13日深夜に東京・渋谷を出発したJR加賀温泉駅行きの高速バスが、新潟県内の北陸道トンネル内で通行止めのため立ち往生。14日午後6時現在も停車したまま。中に5人の乗客がおり、非常食や水を配ったという。

 全日空と日本航空によると、小松空港発着の多くの便で最大約1時間半の遅れが出て、能登空港でも羽田発の1便で約50分到着が遅れた。

 雪の影響によるけが人や事故も相次いだ。県警や県によると、13日午前9時から14日午後3時までに、113件のスリップ事故が発生し、15人が軽傷を負った。中能登町内では14日朝、自宅前で雪かきをしていた女性(69)が足を滑らせて転倒し、頭などに重傷。かほく市内でも13日深夜、除雪作業をしていた56歳と55歳の男性が、足を滑らせたり、自家用除雪機に指を挟まれるなどして軽傷。

 また、輪島市門前町でビニールハウス1棟が雪の重みで倒壊し、加賀市内の部品工場で鉄製の屋根が約30平方メートルめくれるなどした。

 大雪の影響で、県内の公立高校では休校や授業開始時間を遅らせるなどの対応がとられた。午後2時現在の県教委のまとめでは、加賀、七尾東雲の2校が休校に。松任、県立工業、金沢北陵など計10校で最大30分授業の開始を遅らせた。また3校で授業時間が短縮され、珠洲実業、羽咋など7校、特別支援学校1校で授業が打ち切られた。

 小・中学校も羽咋市内や中能登町内の計8校で授業を打ち切った。

 金沢市では、金沢星稜大学の学生ら7人が市立森山町小学校の通学路に「雪かきボランティア」で出動。学生の手伝いを受けた、近くに住む主婦村上京子さん(77)は「心臓の病気で医者から雪かきを止められ、夫も腰を痛めているので、涙が出るほどうれしかった」と話した。

~*七尾は対策奏功*~

 昨年1月の大雪で大渋滞が発生するなど市民生活が打撃を受けた七尾市は、今回の雪では大きな混乱はなかった。14日午前8時現在の積雪量は市中心部で45センチ(県調べ)と前回とほぼ同じだったが、除雪態勢の見直しや早い作業着手が功を奏した。前回「200件はあった」という苦情も35件(同日午後5時現在)だった。

 昨年の混乱の原因は、(1)除雪を始める時間が遅かった(2)国・県・市の連絡が不十分で、県が除雪した幹線の雪が市道の入り口をふさぐなどした(3)雪が湿って重く倒木などが多かったことの3点。

 同市では今回、土木課が同日午前2時半に契約業者へ作業を依頼。58業者が109台の除雪車を使い、通勤時間帯までに生活道路を中心にほぼ除雪を終えていた。

 行政間の連携では、国・県と市町が協力して除雪をする「雪みちネットワーク」を今年度から全県的に実施。情報を県と七尾市が共有することで、効率的な除雪ができた。

 ただ、「市内ひと回りで1千万円」という除雪出動は今回を含めすでに4度。予算4500万円を超えるのは確実で、「補正を組まなければならないだろう」(南紀一(としかず)土木部長)という。

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