11日の中央競馬で出走16頭中9頭が落馬する事故が起こった。中山4R(3歳新馬戦、ダート1800メートル)で、逃げていた三浦皇成騎手(20)騎乗のノボプロジェクトが、4コーナーを回り切るところで急に外側に斜行。その影響で2番手を走っていたフォルメンが前にのめって転倒。後続馬が同馬を避けることができず次々と落馬、中央競馬史上最悪となる合計9頭が落馬競走中止という惨事となった。
落馬事故は4コーナーで起こった。逃げて内ラチ沿いギリギリを回った三浦のノボプロジェクトが、わずかに腰を外側に振り、2番手を進んでいたフォルメンの右肩に触れた。その瞬間フォルメンは体勢を崩して転倒。勝負どころでスピードを上げていた後続は避けることができず、次々と落馬した。出走16頭中完走はわずか7頭。取り残された9頭が横たわってもがき、騎手がうずくまって痛みをこらえる様子は痛々しいばかりだ。
救護室には負傷した9騎手が次々と運び込まれた。下の歯ぐきの部分に裂傷を負い、口元に血がにじんだまま松岡は「無理だ。とても避けられない。マヒして痛さも分からない」と顔をしかめた。昨年、全国リーディングの座を武豊から奪い、今年もこのレースまで8勝をマークしていた内田は左腕尺骨を骨折。絶好調から一転、痛すぎるアクシデントとなった。落馬した全員にしっかりと意識があり、頭を強打した騎手がいなかったことが不幸中の幸いだった。
後方の落馬を知らぬまま大差をつけて1位でゴール板を駆け抜けた(失格)三浦は、馬を下りてから事態を知り顔面そう白。慌てて救護室へと入って被害騎手を見舞った。「外側から馬に来られた時に、馬を蹴りにいくようなしぐさを見せた。普段からそういう面があり、気を付けてはいたのだが…。馬の動き自体は小さいものだったが、これだけ大きな被害を出してしまい、申し訳なかった」と神妙な表情で語った。
JRAは三浦に16日から24日まで開催日4日間の騎乗停止処分を下した。馬の癖(へき)であれば騎乗停止1日だが、三浦に責任ありとして、他馬の進路を妨害した場合の一般的な制裁期間を科した。中村嘉宏・審判部部長補佐は「三浦騎手は馬をラチに近づけすぎた。全馬が経験のない新馬戦であり、もう少しラチとの間隔をとるなど、違う乗り方があったのではないか」と、三浦に安全意識が希薄であったことを理由に挙げた。「(予測できない馬の動きに備え)内側に安全域として1頭分くらい空けておくよう普段から教育している」とも明かした。
三浦は12月19日に20歳となったばかりで、11日が新成人。将来を期待される大器には、つらすぎる成人の日となった。(スポニチ)