「五十二段」110年ぶり改修…興福寺―猿沢池結ぶ石段

老朽化、雨天時滑る危険
 奈良市登大路町の興福寺と猿沢池を結ぶ階段「五十二段」で、改修工事が進められている。石の階段が波打ったり、雨天に転倒する参拝者らがいたりするためで、全面改修は明治以来約110年ぶりという。県は「来年に平城遷都1300年祭を控え、観光客や市民らが安心して散策できるよう安全性を確保したい」としている。

 仏門に入る修行の段階にちなんで段数が52あり、猿沢池から興福寺の五重塔を眺める際に見えるなど、市民らから「五十二段」として親しまれている。県によると、階段の幅は約9メートル、高低差は約8メートルあり、いつ造られたかは不明だが、1898年頃に踊り場を撤去する改修工事が行われ、現在の形になったとされる。

 土の上に直接、花こう岩を置いているため、長年の利用で基礎部分がずれて石が上下しているほか、凹凸があった表面がすり減り、雨の日に滑って転倒する人もいるという。

 本格的な工事は10月13日に始まり、すでに石を重機で撤去。コンクリートで基礎を造り、滑り止めとして、凹凸に加工した石を再び据える。来年3月末までに完成する。

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