規制テープでスクーター転倒、男性重傷、警察官配置せず 警視庁謝罪

9月30日2時11分配信 産経新聞

 東京都大田区で8月、資産家の女性が殺害された事件で、事件発覚後に警視庁池上署が現場周辺の路上に張った規制テープにスクーターの男性会社員が引っかかり、転倒して骨折、重傷を負っていたことが29日、同署などへの取材で分かった。こうした事故は異例。事故は夜間で雨が降るという視界の悪い状況で起きたが、同署は当時、テープを張った事故現場に警察官を配置していなかった。同署は男性に謝罪した。

 8月29日、大田区矢口の不動産賃貸業、瓜生(うりゆう)スエさん(84)が自宅の和室で死亡しているのが見つかり、殺人事件が発覚した。池上署は鑑識活動などの捜査のため、現場周辺の路上に立ち入りを規制するテープを張った。

 同署などによると、翌30日、現場近くの会社に勤務する30代の男性がスクーターで通行中、テープに引っかかる事故が起きた。男性は午後7時40分ごろ、現場近くの一方通行の道路を西進して、丁字路を右折して北上した。当時は雨脚が強く、男性はフェース付きのヘルメットをかぶっていた。

 現場から数十メートルの地点にさしかかった際、路上に張られたテープに首付近が引っかかり、男性はバランスを崩して転倒した。男性はぎりぎりまでテープに気付かず、スピードを落とす間もなかったといい、左足の骨折など全治3カ月の重傷を負った。事故後は会社を休職しているという。

 警察法などに基づいて定められた警視庁の現場保存要領によると、事件が発生した際、鑑識活動などの捜査上の理由から、ロープなどの用具で立ち入り禁止区域を設定する。要領では交通整理の警察官を置き、車両の迂回(うかい)措置を取るなどして、事故防止に努めることを求めている。

 池上署は当時、自宅前の規制テープには数人の警察官を配置していたが、数十メートル離れた事故現場の規制テープには配置していなかった。同署は「夜間のため、配置する人員を減らしていた。男性にはおわびした」と説明している。

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