1月17日14時22分配信 毎日新聞
百年に一度と言われる不況下でのセンター試験が17日、始まった。大手予備校が進路指導の高校教諭に行ったアンケートでは、7割近くが景気後退の影響が出ていると答えるなど、不況の影は教育現場にも忍び寄る。試験会場で、受験生に聞いた。【中村かさね、福泉亮、石山絵歩】
名古屋市千種区の名古屋大会場で受験する愛知県一宮市の山田有里さん(19)は一浪。名古屋工大工学部が志望だ。受験校は同大と私大2校。「大学卒業後は自動車関連の仕事に就きたいと思っていたが、世の中の動きを見ていると厳しそう。取れる資格、就職への有利さ、教員免許が取れるかなどを考えて志望校を選んだ」と話す。兄も大学生だが、大学院に進むか就職か悩んでいるといい、自分まで2浪するわけにはいかない状況だ。「学費の安い私大も選択肢に入れている」。また、岡崎市から来た現役の弓立剛史さん(17)は岐阜大工学部を目指す。できるだけ国公立で、さらに就職に有利な大学を選んだ。両親からは「遠方の私大はやめて欲しい」と注文されたといい、浪人は出来ないと決意しているという。
津市の現役高校生、中山晶平さん(18)は受験校数を当初予定の5校から3校にした。受験料の節約のためだ。両親には「なるべく国公立。だめなら自宅から通える私大に」と言われたという。同じく現役の三重県名張市、関田彩美さん(18)は京都大一本。親の負担を考えて滑り止めの受験はしない。「母から、落ちたら働けと言われた」。
岐阜市の浅野晃治さん(19)は一浪で岐阜大教育学部志望。昨年は県外の私大を目指していたが、今年は自宅から通える同大に変えた。同市の現役高校生、渡辺夏実さん(18)も同大地域科学部が志望校。両親は自営業で「私立は学費が高いので、通わせるのは難しい」と言われているという。自宅から通える国立1校、私立2~3校を受験する予定だが「合格しても私学には行かない」と決めている。