日本勢、メダル量産の期待大 バンクーバー五輪へ強化は順調

1月4日10時8分配信 産経新聞

 2010年バンクーバー五輪へ向けプレシーズンの今季、日本勢の強化が進んでいる。フィギュアスケート、スピードスケート勢は今季、世界大会で次々に優勝を飾る好調ぶり。今後、シーズンが本格化するスキーでも期待が集まる。

 中でも好調なのがフィギュアスケート。昨季の世界選手権を制した女子の浅田真央(愛知・中京大中京高)が、11月末のNHK杯を制した勢いを持続し、グランプリ(GP)ファイナルでもライバルの金妍児(韓国)を破って優勝した。

 浅田の今季初戦となった11月中旬のフランス杯では初日のショートプログラム(SP)で転倒が相次ぎ出遅れた。続くフリーでもジャンプに修正が施せず、シニア転向後最低の合計167.59点で2位。大きな不安を抱える幕開けだった。

 だが、ここから浅田は本領を発揮。フランス杯を終えると、今季から師事するタチアナ・タラソワ氏と緊急合宿を行うためロシアへ向かい、ジャンプの修正、体調の回復に努め、持ち前の集中力で立て直した。

 11月下旬のNHK杯ではほぼミスもなく優勝。続くGPファイナルではSPでライバルの金妍児に先行を許したものの、フリーで逆転。金の地元・韓国でライバルを破る気持ちの強さを見せ3季ぶりに大会を制覇。「よくなっている」と、浅田も進歩を感じている。

 浅田のほか、GPファイナルには安藤美姫(トヨタ自動車)、中野友加里(プリンスホテル)も出場。GPシリーズの上位6人だけが出場できる大会には村主章枝(avex)もあと一歩と迫った。日本女子の世界でもトップといっていい。

 フィギュア男子はエースの高橋大輔(関大大学院)が負傷で今季の出場を断念。影響が懸念されたが、小塚崇彦(トヨタ自動車)がGPファイナルで2位に入る大健闘を見せ、エース不在の中でも底上げが着実に進んできている。

 さらに、昨年の酒気帯び運転発覚から復帰した織田信成(関大)が、11月末のNHK杯で優勝。着氷に失敗こそしたものの、4回転ジャンプにも挑戦するなど積極的な滑りで、織田は「世界で戦うには4回転が必要」と五輪を見据えている。

 スピードスケートでは男子五百メートルで長島圭一郎(日本電産サンキョー)が今季のW杯開幕戦を制すると、12月13日のW杯長野大会で今季2度目の優勝。「五輪前の年なので大きな自信になる」と長島は五輪本番へ向け手応えをつかんだ。

 もう1人の第一人者、加藤条治(日本電産サンキョー)も今季はすでに2回W杯を制した。シーズン中も厳しい練習を積んでいるため、疲れがたまり自分の滑りができない大会も多いが、体調が万全なら世界の頂点は十分に狙える。

 女子五百メートルはやや低調だ。吉井小百合(日本電産サンキョー)が、ようやく12月13日の長野W杯で今季初の3位表彰台を獲得したが、大菅小百合(大和ハウス)、岡崎朋美(富士急)らは表彰台に手が届かない。奮起が期待される。

 中朝距離陣は「世界とまだ差がある」と鈴木恵一強化部長が話すように厳しい状況。女子は全日本距離別で短距離でも結果を残した小平奈緒(信州大)の千五百、三千メートルのほか、石野枝里子(富士急)、田畑真紀(ダイチ)らが中心選手。

 男子では平子裕基(開西病院)、出島茂幸(水戸開発計画研究所)は全日本選手権上位者がどこまで世界との差をつめられるかがカギ。

 シーズンが本格化しつつあるスキーでは、ジャンプの湯本史寿(東京美装)が12月14日のW杯で初優勝。強風のため1回で終了する変則的な優勝ではあったが、結果をつかみ「必ずトップテンに入る実力はまだない。できることを続けていきたい」と湯本はさらなる進化に目を向けている。

 フリースタイルのモーグル女子では、昨季初めて種目別優勝を果たした上村愛子(北野建設)が注目。開幕戦となった12月18日のW杯ではデュアルモーグルの決勝トーナメント1回戦で敗れて6位に終わるなど、まだ本調子には遠い。

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