建設業法の順守率、わずか2・6% 小規模事業者ほど低い割合 国交省の実態調査

 下請け工事を発注したことがある建設業1万2754社のうち、建設業法を完全に守っていた業者の数はわずか327社(2・6%)にとどまることが、国土交通省の下請取引等実態調査で分かった。規模の小さい建設業者ほど、適正な請負契約を交わしていないなどのケースが目立った。また、1割以上の業者が元請けや発注者から不当なしわ寄せを受けた経験を持っていた。今回の調査結果を踏まえ国交省は、建設業法に違反している業者に対し18日付で指導票を送付するとともに、しわ寄せを行ったとされる業者を中心に立入検査を行う。
 調査によると、元請け・下請けを問わず、建設工事を下請けに発注したことのある1万2754社のうち、調査で建設業法に基づく指導を行う必要がないと認められた業者の数は327社。資本金別では、企業規模が小さくなるほど法令順守の割合が低くなった。
 建設業法の順守状況を項目別に見ると、見積もりの依頼に際し具体的な工事内容を書面で示している業者は61・4%。知事・一般許可業者に絞ると50・2%と約半数にとどまった。
 また請負契約を締結する際に基本契約約款に基づき適正に契約している業者は58・6%。知事・一般許可業者では40・9%に下がり、口頭による契約が16・1%を占めた。契約書に定めるべき条項をすべて明示している業者の割合は28・2%だった。
 元請けから「不当なしわ寄せを受けたことがある」「しわ寄せを受けた工事を知っている」と回答した下請け業者の割合は11・3%で、規模の小さい業者ほどしわ寄せを受ける割合が高かった。その内容では、「追加変更契約の締結の拒否」(17・8%)、「下請代金の支払い保留」(16・3%)、「指値による契約」(14・9%)などが挙がった。
 また発注者(施主)からのしわ寄せの実態も調べたところ、「不当なしわ寄せを受けたことがある」「しわ寄せを受けた工事を知っている」と回答した元請け業者の割合は8・4%。発注者別の内訳は「公共機関または準じる機関」が42・7%、「民間企業」が36・7%となった。しわ寄せの内容は「追加・変更契約の拒否、サービス工事の強要」(17%)、「発注者による理不尽な要求・地位の不当利用」(9・1%)、「請負代金の不払い」(7・6%)などの回答が多かった。
 同調査は、全国から無作為抽出した建設業者2万7561社を対象に8月から9月にかけて実施。60%に当たる1万6543社から回答が得られ、うち無効回答などを除いた1万5065社分を集計した。

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