地域包括ケア体制で議論-埼玉県社会福祉審議会

11月27日21時45分配信 医療介護CBニュース

 埼玉県は11月27日、「20期第1回社会福祉審議会」をさいたま市で開催した。県が来年度から始まる「高齢者」「障害者」「地域福祉」についての3つの支援計画案を示し、高齢者や障害者などを地域全体で支える体制の整備について話し合った。

 県が示した「高齢者支援計画(案)の骨子」は、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるように、従来の施策や療養病床の再編などを踏まえながら19期計画の見直しを行うとしている。
 目標としては、「高齢者の生きがいづくりから介護まで考慮した総合計画の策定」「地域全体で高齢者を支えるケア体制の整備」「介護保険制度の安定運営」「県内を10圏域に分け、バランスの取れた施設サービスの提供」を挙げている。
 また、在宅医療の推進や高齢者向け住まいの充実などを新規事業として挙げ、介護付き有料老人ホームをはじめ、特養や老健施設の整備についても検討事項としている。
 質疑応答では、同審議会の議長に選出された大橋謙策・日本社会事業大学長が県の介護保険の不正受給防止対策について質問すると、事務局は「市町村だけでは対策に手が回らないので、昨年から県が市町村の職員に対策の実施指導を行うモデル事業を行っている」と答えた。これを受けて、富岡勝則委員(朝霞市長)は「対応に人が足らず、職員の残業も増えている。市町村だけで対応できないのが現実だ」と述べた。

 障害者支援計画案では、障害者の地域生活への移行や一般就労をさらに支援していくことや、虐待防止への取り組み強化などが提案されている。
 矢部薫委員(知的障害者入所更生施設・親愛南の里施設長)は、「知的障害者が高齢化した場合について障害者自立支援法も想定していない。腹部大動脈瘤の利用者がいるが、転倒したら死んでしまう。障害者にもセーフティーネットが必要」と訴えた。
 地域福祉支援の計画案では、地域で支え合うための福祉体制の整備と担い手の育成が課題とされた。
 大橋議長は「地域の見守り体制の問題について考えるなら、高齢者や障害者だけでなく、児童まで含めた議論をするべきではないか。地域包括ケアのシステムをどのようにつくるか考える必要があるのではないか」と今後の課題を示した。

 審議会では、今後2年間にわたり議論を進めていく。次回は来年2月14日に開催の予定。

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