高校総体:洛北8回目V ハンド女子

全国高校総体(全国高体連、毎日新聞社など主催)第10日は6日、那覇市などで8競技を行った。テニスの女子シングルス決勝は布目千尋(和歌山・慶風)が前回準優勝の美濃越舞(千葉・秀明八千代)に勝ち初優勝。男子シングルス決勝は小野陽平(岡山・関西)が後藤翔太郎(三重・四日市工)を破り初優勝した。ハンドボール男子は北陸(福井)が3年ぶり3回目、女子は洛北(京都)が連覇を狙った四天王寺(大阪)を破り、2年ぶり8回目の優勝を果たした。剣道の男子は、団体で安房(千葉)が5年ぶり3回目の優勝。個人優勝の千葉由樹(安房)は団体・個人の2冠を達成した。女子団体は筑紫台(福岡)が4年ぶり2回目の優勝を遂げ、個人で優勝した松本弥月(筑紫台)が2冠となった。

 ◇「勝ちたい」危機のチーム結束
 「勝つという気持ちを切らしてはいけないと思った」。ハンドボール女子で、タイトル奪回を果たした洛北の角南(すなみ)主将は、接戦を振り返った。後半25分過ぎ、洛北は最大8点あったリードを2点差まで詰められた。しかし、洛北の選手たちは体を張って四天王寺の攻めに耐え、最後まで守りきった。

 通算8回目の優勝は、これまでとは意味合いが違う。チームは昨年、高校総体4連覇が途切れ、3月の選抜大会でも四天王寺に敗退した。試練が続く中で、約20年間率いた楠本繁生監督が大体大へと移り、チームは新たに赴任した妻みゆきさんが引き継いだ。守りを重視する新監督の方針に選手が戸惑い、角南主将は「ぎくしゃくしたものが続いた」と言う。

 しかし、「勝ちたい」という共通の思いが結束を促した。総体の決勝でも守備意識が徹底していた。攻撃から素早く守備に戻り、四天王寺のポストの竹下を、角南と吉田が挟むように封じた。好セーブを連発したGKの和田は「ディフェンスが機能していたので、シュートコースを絞ることができた」。前半早々に挙げた5連続得点は、失点を許さなかった守備の成果だった。

 みゆき監督は「能力が高い四天王寺の攻撃力をどう封じるかしか頭になかった。私は財産を受け継いだだけ」と控えめだったが、繁生さんは「これで歯車も合ってくるはず」と安堵(あんど)の表情を見せた。夫婦で名門のたすきをつないだ「新生・洛北」が、沖縄総体で新しい歴史を踏み出した。【百留康隆】

 ○…テニスの男子シングルスは、3年の小野(関西)が貫禄を見せ、1年の後藤(四日市工)を圧倒した。序盤は競ったが、相手の強いフォアを「しっかりディフェンスできた」と徐々に流れに乗ると、第2セットは1ゲームも許さず、6-0で完勝した。2月に転倒してあごを骨折。テニスができない日々を送ったことで、「試合中に感情的にならない精神力がついた」(内藤監督)。暑さ対策で、冬用のウオームアップ着を着て走り込んだ成果も発揮し、「安定して攻められた」と納得の表情だった。

 ○…テニスの女子シングルスは3年で初出場の布目(慶風)が制した。相手は昨年の個人戦準優勝の美濃越(秀明八千代)。第1セットで1-4とリードされたが、「ここまで逆転勝ちばかりだったから」と自らを鼓舞。中学時代に富山県の駅伝大会で区間3位に入った脚力で相手の強打を粘り強く拾い、ひっくり返した。テニスに本格的に取り組み始めたのは中3と遅めだが、「強くなって、プロを目指したい」とほほえんだ。

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