民主党の三宅雪子衆院議員(45)が13日、内閣委員長の解任決議案採決が行われた衆院本会議に松葉づえで現れた。強行採決が行われた12日の衆院内閣委員会で転倒し負傷。強行採決によるイメージ悪化を避けるためか、民主党は本会議場で拍手を送るパフォーマンスを見せた。一方、三宅氏を突き飛ばしたと名指しされた自民党の甘利明衆院議員は全面否定。普天間や政治とカネの問題はどこへやら。この日の国会は、“三宅問題”をめぐってヒートアップした。
三宅氏は、田中慶秋内閣委員長の解任決議案が採決される衆院本会議場に車いすで現れた。青く腫れた右ひざを報道陣に見せ「今日の方が痛みます」と話した。本会議が始まると、自民党議員が決議案提出の理由を説明中、今度は松葉づえで登場。歩行中につまずいて再び転倒、スカートからふとももがあらわになった。投票で登壇する際は男性同僚議員に支えられて歩き、降りる際はおぶわれた。
民主党議員はここぞとばかりに拍手を送り、小沢ガールズ田中美絵子衆院議員が付き添う“演出”もあった。同党の村上史好議員は「昨日の委員会で三宅議員への暴力行為があった。言語道断」と指摘。党側は、三宅氏の横にいた甘利氏が突き飛ばしたとみており、本会議では「暴力議員」「謝れ」とやじが飛んだ。
これに対し、甘利氏は「私はぶつかっていない。三宅氏との間にいた(民主党)男性議員が派手に倒れようとしたらしく、前にいた三宅氏にぶつかった。映像を見てもらえれば分かる」と否定。「委員外の人が採決を妨害すること自体、あり得ない」と逆批判した。
内閣委員会で質問を打ち切られ、解任決議案の賛成討論に立った自民党の小泉進次郎衆院議員も「委員会で暴力行為は一切ない」と強調したが、反発した民主党議員のブーイングにその声はかき消された。決議案が与党の反対多数で否決される中、暴力が「あった」「なかった」の言い合いに。民主党は甘利氏への懲罰動議提出を検討しているが、進次郎氏は「懲罰に値するとは思わない。ほかの問題でけじめをつけていない人がいる民主党に、けじめをつけろと言われる筋合いはない」と、反論した。
6月16日の国会会期末、参院選を控え、与野党対決は強まる一方。この日の本会議も別の強行採決に野党が反発、開会が2時間遅れた。ただ普天間問題や、小沢一郎民主党幹事長の政治資金問題がヤマ場を迎える中、三宅問題で与野党がヒートアップする、ヘンな事態になってしまった。【中山知子】