全国高校総体:カヌーカヤック五百で優勝 坂出高の小原さん、新岡さんに聞く /香川

きらきら光る水面を、すべるように進むカヌー。坂出高2年、小原亜貴さん(17)と新岡ひかりさん(17)が全国高校総体(7月28日~8月20日)のカヌー女子カヤックペア五百メートルで優勝、世界の舞台にもこぎ出している。あまりなじみのない競技だが、どんな魅力があり、どんな練習をしているのか。2人に聞いてみた。【中村好見】

 ◇筋トレ・走り込み、週6日の猛練習 成果出ると快感に
 ◇いつかは「不動のペア」に 世界の舞台へこぎ出す
 「乗ってみたら水面が本当に近くにあって、自然を肌で感じられるのがいい」

 新岡さんは、カヌーの魅力をそう話した。

 2人が生まれ育ったのは、坂出市府中町。国内でも有数の「府中湖カヌー競技場」があるカヌーの町だ。地元には、「府中湖カヌークラブ」があり、幼稚園児からお年寄りまでがカヌーに親しむ。

 小原さんが同クラブに入ったのは小学1年の時。新岡さんも小学6年で入会した。2人とも、週末に練習し、腕を磨いてきた。

 試合に出るようになったのは、中学生になってから。1年の冬、初めてペアを組んだ。「2人で乗ってみたら」というクラブのメンバーの何気ない一言がきっかけだった。小原さんは「性格は全然似てないけれど、いつかは全国で一番になりたいという目標が一緒だった」と、すぐに息が合ったわけを語る。

 2年の時には、全国中学校体育大会の女子カヤックペア五百メートルで4位に。「練習した成果を試合で出せた時の感覚にはまっていった」と小原さん。3年で同大会女子カヤックペア五百メートルの優勝を果たした。

 小原さんは「私は前に乗っているので、こいだ瞬間に押される感じや動きで、相手の調子が分かってしまう」と話し、新岡さんも「シングルでは『もうえらいけん落とそう』と思う時も、亜貴ちゃんが前にいるとつられて頑張れる」と笑う。

 だが、昨年は県予選も突破できなかった。カヌー部があるのは県内3校だけで、強豪・坂出高に進学するため、半年間は練習を休み、猛勉強をした。半年間のブランクが響いた。

 小原さんは「その時の悔しさが、ばねになり、今年の優勝につながった」と話す。坂出高の練習時間は、平日は約3時間、週末には7~8時間。休みは週に一度だけだ。1年間、バランス力やストローク力、スタミナを向上させるため、走り込みや筋力トレーニングを積んできた。

 新岡さんは「カヌーというと、腕の力が重要だと思われるんですが、特に大切なのは下半身が安定することなんです」という。そのため、腹筋やベンチプレスなど筋力トレーニングは欠かさず、毎日最低100回はする。

 地道な練習が実り、2人は今年の全国高校総体で、予選から1位通過。決勝でもスタートからトップに躍り出て一気にスピードを上げ、3秒差をつけてゴールした。女子カヤックペア二百メートルでも3位に入賞した。

 だが、ペアで練習するのは大会の約一週間前になってからだという。普段はシングルの練習に力を入れている。顧問の高木梨恵さん(31)は「一人一人が力をつけて、ペアやフォアで力を発揮するのがうちのスタイル」と話す。実際、小原さんは、同大会の女子カヤックシングル五百メートルでも4位に入賞した。

 2人は今年、世界ジュニア選手権やユースオリンピックなどにも挑戦、舞台を世界に広げている。両大会とも、スタートはついていけたが100メートル越えたところで離されてしまい、決勝には進めなかった。新岡さんは「筋力、持久力、精神力を全部上げないと、体格でまさるヨーロッパの選手には歯が立たない」と話し、小原さんは「世界でも通用する選手になりたい」と夢を膨らませる。

 当面の目標は、来月初旬にある国体での2冠達成。今後は「カヌーのペアといえば、小原と新岡と言われるような『不動のペア』になりたい」と笑った。

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 ◇カヌー競技
 流れのない河川やダム、湖などで着順を競うスプリント競技が知られる。艇の種類によって、「カヤック」と「カナディアン」(男子のみ)の2種目がある。また、1人乗り(シングル)、2人乗り(ペア)、4人乗り(フォア)があり、高校総体などでは二百メートル、五百メートルの距離を競う。

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 ◇県立坂出高校
 1917(大正6)年に県立坂出高等女学校として開校した。現在は共学の進学校で、生徒数は790人。カヌー部は95年に創部し、部員は現在、男女17人。05年度全国高校カヌー選手権大会では女子カヤックフォア五百メートルで全国優勝。カヌー競技が正式に全国高校総体種目になった06年度の第1回大会では、男子カヤックフォア二百メートルと、女子カヤックペア五百メートルで優勝した。

毎日新聞 2009年9月16日 地方版

鳩山首相「友愛直球」24球、桑田氏も絶賛

初外遊するアメリカのピッツバーグで大リーグ始球式を予定している鳩山由紀夫首相(62)が21日、首相官邸で元パイレーツ投手の桑田真澄氏(41)を招いて“キャッチボール特訓”をした。桑田氏から贈られたユニホームと帽子を着用して24球を投げ、「ボールの回転がいい」と絶賛された。鳩山氏も上機嫌で「直球勝負。届く球を投げる」と話した。この日夜、羽田空港発の政府専用機でニューヨークへ向け出発した。

 官邸から鳩山氏がニコニコしながら出てきた。官邸の南庭に初めて入る。パイレーツのユニホームの上着を早速着て、右肩をぐるりと回した。ピッツバーグで予定されている始球式は、25日のパイレーツ対ドジャース戦が有力。渡米前からやる気満々だ。

 「最初は短い距離からね」と切り出した鳩山氏は約10メートルの距離から1球。後ずさりしながら桑田氏からのボールをキャッチして約15メートルからさらに1球。真上から投げるきれいなオーバースローだ。3球目以降は、マウンドからホームベースまでの距離(18・44メートル)ぐらい離れ、22球を投じた。計24球、顔は真剣そのものだった。

 途中、桑田氏が「すごいね。いい球を投げる」と驚いた様子で話した。ハイピッチで直球を投げ込む鳩山氏に、最後は桑田氏が「肩は大丈夫ですか」と気遣ってストップをかけなければ、まだまだ投げそうな勢いだった。

 終了直後、キャッチボールした日本のプロ野球の球と、桑田氏から贈られた大リーグ使用球を差し出された鳩山氏は「日本の方がしっとりしていていい」と熱心に触り比べた。

 鳩山氏 世界の桑田さんとキャッチボールできてありがたい。首相になるといいこともあるなと思った。(始球式では)変化球なんか投げられないから、直球勝負。受け取ってもらえるように届く球を投げたい。

 桑田氏によると数日前、官邸に来てくださいと要請された。かつて所属していたパイレーツの本拠地ピッツバーグで2年暮らしていたことで呼ばれたと思ったという。懇談だけだと想定していたら、いきなりキャッチボールという展開になった。

 桑田氏 分かっていたら自分のグローブを持ってきた。首相は投げ方もいいけど球の回転が素晴らしい。暴投もなかった。僕は2球あったのに。大リーグ使用球はすべるから気をつけないと、と話してました。米国の始球式はマウンドの前から投げるけど、首相はマウンドからいけますよ。

 桑田氏へ、ユニホームと交換に「友愛直球」と書いた色紙を差し出した鳩山氏は終始ご機嫌だった。

 鳩山氏は夜、ニューヨークに向けて出発。現地では国連総会、第3回金融サミットに出席し、オバマ米大統領ら各国首脳との会談も予定されている。始球式とともに、外交デビュー戦でも「友愛直球」が通用するか、注目される。

近藤真彦:30周年1発目はロック“少年”だぜ

来年12月12日にデビュー30周年を迎える歌手の近藤真彦(45)が、今年12月12日に記念イヤー突入を飾るシングルをリリースする。

 タイトルは「MOTTO!MOTTO!」。「30周年の1発目の花火」と位置づける作品で、「少年になれ!もっと!もっと!」と叫ぶサビが印象的なロックナンバー。「ライブ向きの歌。ストレートな歌詞で思いが真っすぐ伝わりそう」と手応えを感じている。

 また、来年創業30周年を迎える旅行会社「H.I.S.」のCMキャラを務めることも発表された。8日から放送の第1弾CMは、自転車で転倒し右肩甲骨を骨折した「佐渡国際トライアスロン」の3日後にケガを押して撮影。フジテレビのミニ旅情報番組「Hotels」(8日スタート、木曜後10・54)のナビゲーターにも決定した。(スポニチ)

3人乗り自転車を18市町が購入へ 一定期間、個人に貸与

9月定例県議会は30日、一般質問を行い、吉田徳保、伊藤勝人、筒井隆彌(自民)、谷口知美、水谷満信、長江正成(民主)、小島丈幸(公明)の7氏が登壇した。国の経済対策で新設された「地域子育て創生事業」として実施する3人乗り自転車貸出事業について、県は県内18市町が計880台を購入し、子育て中の母親らに貸し出す予定であることを明らかにした。(大村歩、岩崎健太朗)

 3人乗り自転車貸出事業については、筒井氏の質問に答えた。

 3人乗り自転車は子どもが2人以上いる母親らのニーズが高かったが、運転が難しく転倒事故も相次いだことから、警察庁が禁止していた。しかし、若い母親らから反発を受け、安全性向上を条件に容認へ方針転換し、今年7月から全国的に解禁された。

 新しい3人乗り自転車は、前輪を二輪とするなど安全性が向上している一方、電動アシスト付きで1台12万円程度、アシストなしでも6~8万円と割高なため、子育てサークル関係者らからは「行政による購入補助や貸出事業が必要」との声が上がっていた。

 県によると、事業費は9300万円で、購入予定台数は名古屋市が560台、春日井市が50台、知立市が20台など。台数を絞ってアシスト付き自転車を購入する自治体もある。観光地のレンタル自転車のような時間貸しではなく、事故や盗難の保険に加入した上で、一定期間個人に貸与するという。

 県は「国の事業が来年度も継続されれば、県内全市町村で実施できるよう働き掛けたい」と答えた。

 【DV一時保護所を拡充へ】配偶者間暴力などのドメスティック・バイオレンス(DV)被害相談の増加を受け、県は年度内に、現在11カ所ある一時保護所を1カ所増やす考えを明らかにした。水谷氏への答弁。

 県児童家庭課によると、2008年度に寄せられた相談件数は1900件、一時保護件数は246件でいずれも過去最多となった。本年度も8月末時点で、相談件数が967件、一時保護件数は128件となり、前年度同期比で10%程度増加している。

 相談件数などの増加について、野村道朗健康福祉部長は「潜在化していた配偶者からの暴力への認識が高まり、支援体制の周知も進んだ影響が大きい」と分析。一時保護先は現在、県の保護所が1カ所、社会福祉施設への委託が10カ所あるが、今後、委託先を1カ所増やすとした。

高層階居住やのにEVとまったら・・・

高層階に住んでいるのにエレベーターが動かなかったら――。大阪市が全国に先駆けてマンションの「防災力認定制度」を始めた。飲料水などの「備蓄倉庫」を高層階に置くなどといった基準を設けて、クリアした物件に認定プレートを出す仕組み。大阪市内で売り出された20階(高さ約60メートル)以上の高層マンションはすでに計98棟にのぼるとされるが、災害対策が大きな課題になっている。

 見上げると、青空に刺さるようにまっすぐ壁面が伸びてゆく。高さ約209メートル、地上54階建ての大阪市中央区の超高層マンション。市内中心部で今春完成したばかりの「高さ日本一」という物件だ。

 不動産経済研究所(東京)によると、こうした20階以上のマンションは大阪市内で98棟販売され、04~08年だけで45棟。今年もこれまで5棟が売り出された。「都市部の利便性の良さ、眺望の良さが人気」(マンション開発業者)といい、今後、さらに新規の販売計画があるという。

 続々と増える超高層の物件だが、課題は防災面。停電や故障でエレベーターが止まると住人が中に閉じ込められる危険がある。また、地上との行き来が困難になれば高層階は食料、飲料水、トイレなどの確保が重要だ。

 マンション開発業者の間では、自主的に飲料水をつくる「造水機」や簡易トイレなどを1階に設置する動きがある。しかし、ある担当者は「水や食料があっても、徒歩で10階以上運ぶのは大変。高層階の住人に向けた対応策はこれからの課題」と認める。

 市が8月から始めた「防災力強化マンション認定制度」では、建物の耐震や耐火性の評価に加え、家具転倒の防止策を講じたり、11階以上では10階おきに防災倉庫を設置したりするなどの様々な基準を設けた。すでに数社から申請の問い合わせがあり、制度普及の「出足は上々」(担当者)という。ただ、業者に対する強制力はないため、認定証発行の目標数は年間5件程度と控えめだ。

 マンション住まいの世帯が8割以上という東京都中央区では07年7月、開発業者に対する指導要綱に「防災対策への配慮」という項目を新設。地上10階以上であれば、備蓄倉庫を一定階ごとに設置するように一律に指導を始めた。担当者は「新たに計画された40物件が倉庫設置に応じてくれている」と話す。

 東京都港区でも同様の規制を検討中で、都市部の自治体でマンション防災への取り組みは広がり始めている。

 防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実さんは「開発業者はコストのかかる防災設備には消極的。だが、地震などではエレベーターが止まり、高層階の住人が下界から孤立してしまう可能性が高い。行政側は危機感を持って、備蓄倉庫などを当初から装備するように開発業者を規制、誘導すべきだ」と話している。

名古屋のバス運転手焼身自殺:「支援する会」が結成総会 /愛知

07年6月、名古屋市交通局野並営業所のバス運転手の男性(当時37歳)が職場でのパワーハラスメントを示唆する文書を残して焼身自殺した問題で、男性の公務災害認定を支援する会の結成総会が30日、同市熱田区の労働会館であった。会は今後、署名活動をしながら支援者を増やす。

 会は市交通局労働組合の元支部長ら7人で役員を構成。結成総会には男性の両親や市交通局職員、OBら約50人が参加した。

 男性の自殺を巡り遺族は08年7月に公務災害の認定を市に申請。遺族側は「職場での度重なる指導が強度のストレスとなり、うつ状態にあった」と主張している。地方公務員災害補償基金名古屋市支部が審査している。

 総会では遺族の代理人弁護士が自殺の経緯や背景を説明した。男性がうつ病を発症した要因として、交通局の本庁職員が添乗指導で男性に「葬式のようなしゃべり方」と指摘していたことや、男性に覚えのない接客に関する苦情について、交通局が重ねて指導したことなどを挙げた。

 07年5月にはバス車内での乗客転倒事故を巡り、交通局が男性の運転時の事故として処理したことに対し、男性が「納得できない」と同僚にメールを送っていたことが分かっている。交通局は事故・苦情を1年間に3回受けた運転手に「リフレッシュ研修」と称する再教育を行っている。遺族側は男性が研修の対象者になると考え、事故の責任を押し付けられた絶望感と相まってストレスを増大させたと主張している。

 市はパワーハラスメントを否定しているが、総会で男性の父親(69)は「息子の死を無駄にしてはいけない。真実を知りたい」と訴えた。【式守克史】