登校の小中生に倒木 王滝で高さ15メートルのカエデ、児童2人軽傷

4日午前7時45分ごろ、王滝村上条の村道の北側斜面のカエデの木が、集団登校していた小中学生の頭上に倒れかかった。木は近くの電線を引っかけ、たわんだ電線が小学5年生の女児(10)の顔に当たった。女児は転倒、顔やひざに軽傷を負った。別の小学5年生女児(10)も、落ちてきた碍子(がいし)が右手に当たり、軽い打撲。

 木曽署によると、カエデは高さ15メートル、根本の直径80センチ。児童らは10人で登校中だった。木の真下にいたという4年生女児(9つ)は「銃を撃ったような『バン、バン』という音がして、枝が落ちてきた。見上げると木が傾いてきて、必死で逃げた」と話した。

 村によると、カエデは古木で、道路に覆い被さるようになっていたため、所有者との間で伐採する話も出ていたという。村は「通学路などに危険な場所がないか再点検したい」としている。

臓器移植 提供の現場で:4 夫の死 実感わかぬ妻

くも膜下出血で倒れた夫(当時56)の法的脳死判定は、市立札幌病院救命救急センターに運ばれて5日目の朝に始まった。

 「反応があってほしい。もう一度だけ、話がしたい」。長男(27)は、まだ望みをつないでいた。結果をこの目で確かめたい。立ち会いを希望し、家族と判定を見守った。

 午前9時15分。ベッドを囲む判定医らが、検査を始めた。光をあて、皮膚を刺激して反応があるかどうかを調べ、耳に少量の冷水を入れて目に表れる反射をみていく。

 そして脳波の検査。頭に接着用のジェルが塗られ、20枚ほどの電極がはり付けられた。モニターや記録用紙に描かれた波形の線は何を意味しているのか。長男は何度も鹿野恒医師に確かめた。

 2度の判定で、脳の活動を示す兆候はなく、無呼吸テストにも反応はなかった。「もう、元の父にはもどらないんだな」。長男は、そう受けとめた。

 「法的脳死判定の結果をもって午後7時41分、お亡くなりになりました」。死を告げる医師の言葉を聞きながら、女性に実感はわかなかった。夫の心臓は動き続けている。

 でも、脳死なら心臓が止まるのもそう先ではない。ならば、無数のチューブにつながれた夫を早く解き放ってあげたい。「もう少しだからがんばって」。そう言葉をかけた。

 翌日までに各病院で移植手術を担当する医師の移植チームが次々と到着した。静かだった夫の周囲が、あわただしくなった。

 午後10時、移植できるのかを調べる臓器の検査が始まった。通常は家族が立ち会うことはない。しかし、すべてを見届けるのが家族の責任と話し合い、同席を希望した。

 移植チームが交代で入室し、心臓や肝臓のあたりに超音波機器をあてたり、肺のX線写真を撮ったりした。晩酌を欠かさず、愛煙家だった夫の臓器が使えるのか心配で、「肺は大丈夫ですか」「お酒で肝臓は悪くなっていませんか」とチームの医師に質問した。

 翌日午前5時半。心臓、肺、肝臓、腎臓、皮膚組織がヘリコプターや車で続々と運び出された。手術室から出てきた夫の顔は、バイクの転倒の時にできた目の周りの腫れもメークで隠された。大仕事をやり遂げ、誇りに満ちているように見えた。

 夫の死について、後に思い悩むようになるとは、この時は予想もしていなかった。

元署幹部らの実刑確定へ 明石歩道橋事故

兵庫県明石市の歩道橋で平成13年、花火大会の見物客が転倒して11人が死亡するなどした事故で、業務上過失致死傷罪に問われた元県警明石署地域官、金沢常夫(60)と元警備会社支社長、新田敬一郎(68)両被告の上告審で、最高裁第1小法廷(横田尤孝裁判長)は、両被告側の上告を棄却する決定をした。

 ともに禁固2年6月の実刑とした1、2審判決が確定する。決定は5月31日付。

 同小法廷は「雑踏事故の発生を容易に予想でき、未然に防ぐべき業務上の注意義務があった」と指摘。「事故はないと軽信し、注意義務を怠って措置を講じずに放置したことで、事故を発生させて多数の死傷者を出しており、業務上過失致死罪が成立する」との判断を示した。

 事故をめぐっては、神戸地検が不起訴としていた同署の元副署長(63)について、遺族の審査申し立てを受けた神戸検察審査会が起訴議決し、今年4月、同罪で全国で初めて強制起訴された。

【MLB】内角球とらえて三塁打、福留、1番の務め果たす

三回。この回先頭で打席に立った福留が、内角速球を鋭くとらえた。右翼線を転々とする打球を見ながら一塁ベースをけり、二塁手前で右翼手の転倒を確認すると、スピードを落とさず三塁へ。後続の本塁打で、先制のホームを踏んだ。

 今季は相手先発が左投手の場合はベンチスタートになるため、出場が不規則になっている。それでも打率は3割前後を維持。起用法には納得できるはずもないが、「出るかどうかは、監督が決めること」と平静を装い、淡々とバットで結果を出し続けている。

 カブスはこのところ打線が拙攻続きでリズムに乗れず、前日はパイレーツに1点差負け。「みんなが一つ一つ考えないと抜け出られない」と話していた福留が、まずは自らの打撃で先制のきっかけをつくり、リードオフマンの務めを果たした。(共同)